【REBORN】雪の灯火part5 (ページ10)

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169話ページ10

私の中に存在する雪の原石について話した

きっと、彼とはこれから長い付き合いになると思ったからだ

「…なるほど、僕の憑依を見抜いたのもその力で記憶していたからか」

『！？信じてくださるのですか？』

「貴女、嘘つけないでしょう」

あまりにも突飛な話

けれど、おじいさま、おじさまに続き骸くんは信じてくれた
私の人間性までも見通して

それが嬉しくて、安心してこぼれ落ちそうになる涙を瞬きで抑えるのに必死だ

「…僕はまた気まぐれにここを散歩します」

『え？』

骸くんを見上げれば、彼はそっぽを向いていた

「またタイミングよく会えたら僕の退屈凌ぎに付き合いなさい冬園A」

『！はい！もちろんです！』

彼なりの不器用な優しさ

それに嬉しくなり目を細めて笑えば、目尻から少しだけ涙がこぼれ落ちた

景色が靄がかかったように揺らめき出した

骸くんの姿もだ

『あっ…』

「おや、もうそろそろ貴女が目覚めるようですね」

彼も周囲を眺めれば、少しだけ笑った

「せいぜい、そのボロボロの体を早く治すことですね冬園A」

『っはい！』

その言葉を最後に私は精神世界から浮上し
やっと現実世界に戻ってきたのだ

～・～・～

重たい瞼を持ち上げる

鼻をくすぐるのは独特な消毒液の香り

規則正しい機械音がすぐ側で鳴っている

ぼやけた視界が捉えたのは真っ白な天井だった

「！A」

赤ちゃんのような高い声と共に、少しだけ私の腕にかかる体重

『…お、じ…さま』

見慣れた黒いボッサリーノを被ったリボーンおじさまだった

夢の中とは違う重い体と掠れる声が現実世界に帰ってきたことを裏付けていた

「ちゃんとオレのことわかってるみたいだな。待ってろ、今ママンに医者を呼んでくるように言ってくるからな」

ピョンとベッドから飛び降りるとおじさまは外へ出て行った

(奈々さんもおじさまもずっといらしてたんでしょうか…)

申し訳ないことをしてしまった

体を起こそうにも全然力が入らない

大人しくおじさまの帰りを待っていると、勢いよく扉が開いた

「Aちゃん！！」

駆け込んできたのは奈々さんだった

私の顔を両手で優しく包み込むと少しだけ目を潤ませた

「よかったわ目が覚めて…2週間も眠ったままだから私どうしようかと思って」

(に、2週間！？)

そんなに意識がなかったのか

自分の体感とのズレに思わず目を見開いた