162話 ページ3
この長い時間の中で初めて聞いた彼の目的
しかしそれだけでは治らなかった
「クフフ…まさか…僕はそんなちっぽけな男ではありませんよ。僕はこれから世界中の要人の体をのっとるつもりです」
その企ては大きくそして、邪悪だった
「そして、彼らをあやつりこの醜い俗界を純粋で美しい血の海に変える」
ゆっくりと立ち上がった彼は恍惚な表情を浮かべていた
「世界大戦…なんてベタすぎますかねぇ」
この戦いの裏にそんなに大きな野望が隠されていたとは思いもしなかった
胸の前で痛む手を握る
口角を上げていた彼は一変、厳しい表情を見せた
「だが、手始めはやはりマフィア＿…マフィアの殲滅からだ」
『なぜそこまでマフィアを恨むのです！』
「おっとこれ以上話すつもりはない」
彼が時折見せる憎しみの目
その理由が、意図が見えない
「君は僕の最強形態によって僕のものになるのだから」
彼は不敵な笑みを浮かべた
「見るがいい！！」
六道くんの体から黒い幻影が飛び出した
「……幻覚だ。こんなもので…」
(幻覚…？いえ、これは何か…)
勢いよく綱吉くんの体をすり抜ける
しかし
「！！？くう…」
『！？つぶてが！』
「油断しやがってバカツナめ」
幻覚の中につぶてが潜んでいたのだ
それをまともに食らってしまった綱吉くんは膝をつく
そこに逃すまいと六道くんが強襲する
「『ツナ/綱吉くん！』」
「わかってる！！」
拳の炎を強くすると再び六道くんのは背後に回り込んだ
「！！また背後に！？」
頬に強烈な一撃が入り六道くんは床に直撃した
「ぐふ……」
「………」
「クフフフこれがボンゴレ10代目、僕を倒した男か……」
そのまま彼は苦し紛れに口を開く
「殺せ」
『！！』
彼が選ぶのはあまりに残酷な選択だった
「君達マフィアに捕まるぐらいなら死を選ぶ」
そんなこと言わないで欲しい
けれどこの場で私が言うべきではない
判断するのは、綱吉くんだ
彼はふっと視線を逸らし、六道くんに背を向けた
「オレにそんなことはできない……」
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間
六道くんは待っていたかのように嘲笑し、綱吉くんの両腕を掴んだ
『っ！』
「その甘さが命とりだ」
「骸、おまえ……！」
息を飲んだ
彼は、この惨劇が終わるまで決して諦めないつもりだ
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作者名：海波 | 作成日時：2020年10月20日 2時
