【REBORN】雪の灯火part2 (ページ29)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:65,938 hit

65話ページ29

雪が止み、夕焼けが雲の隙間から見える時間になった

おじいさまが今日の夕食は外に食べに行こうと朝おっしゃったのでそのために準備をする

折角だからと家光さんに頂いた振袖に袖を通す

きっとおじいさまも喜んでくださると思うから

髪も編み上げ、準備は万端だ

身だしなみを確認しているとノック音が部屋に響く

『はい』

「Aちゃん、そろそろ、！うわお！」

顔を覗かせたのはガナッシュさん

私の着ている振袖を見て瞳を輝かせる

「さすがジャッポーネだね！着物がよく似合ってるよ！9代目のために？」

『はい！家光さんがくださったプレゼントなのですけれど、おじいさま喜んでくださるでしょうか』

「もちろんだよ！さあ、一緒に行こうか9代目ももうそろそろ戻られる」

ガナッシュさんと共に広間へ向かう

私たちが着くとちょうどおじいさまも帰ってこられた

『おじいさま！お帰りなさい』

「おお！Aちゃん、ただいま」

おじいさまは私の頭を優しく撫でると、いつもよりも目尻に皺を寄せ優しく笑った

「とても綺麗だね。着物もだけれど、Aちゃんも」

『あ、ありがとうございます』

ストレートに褒められ、恥ずかしくなってしまう

そんな私を見ておじいさまはさらに目尻の皺を深くするだけだったのだが

「さあ、早速だけれど行こうか。今日は私がエスコートさせて頂こう」

おじいさまに腕を差し出されオズオズと腕を組み、ゆっくりと歩き出した

～・～・～

連れてこられたのは日本食屋さん

個室に通され、美味しい日本食が振舞われた

誕生日ケーキも出され、お腹も心も満たされた

「どうだったかい？Aちゃん。喜んでもらえたかな」

『はい！こんなに素敵なお祝いをして頂いて、とても嬉しかったです。ありがとうございます』

「それはよかった。けれど、これで終わりではないよ」

『え？』

おじいさまからの衝撃な言葉に驚き目をパチクリとさせる

そんな私を他所におじいさまは、手のひらサイズの箱を私に手渡した

「私からのプレゼントだよ」

『ありがとうございます』

開けてごらん、と言われゆっくりと箱を開けると

『懐中時計、とっても素敵…』

ピンクゴールドの懐中時計

蓋の裏には

"Cara figlia"

『あっ』

思わず声が漏れ目頭が熱くなる

「…Aちゃんは私の大切な娘だからね。今も、そしてこれからも」

『おじいさま…ありがとう、ッございます』

"Cara figlia"

"親愛なる娘"