【REBORN】雪の灯火part2 (ページ18)

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55話ページ18

(sideベルフェゴール)

少し苦しそうに息をするA

頭に乗せていた手をするりと頬へ滑らせる

「まだあちぃか」

雪で濡れた服で長い時間外に居たからか体調を崩したらしい

(ったく…なんですぐ言わねーんだか。思ったことあんならすぐ言やーいいのによ)

出会って数日で気づいてはいたが、どうやらAは思ったことを口に出すのが苦手らしい

なんでも自分の胸の内に秘めてしまうのだ

最近は心を許してくれてるからか、少しずつ我儘も言ってくれる

「もっと頼れよなバカA」

林檎のように赤くなった頬を弱い力でムニムニとつまむ

少しだけ唸ったAは眉間に皺を寄せてしまった

「しし♪」

俺が気を緩めていると唐突にノックの音が部屋に響いて来た

Aの手は離さずに身体を起こし、すぐに動けるようにする

「…誰だよ」

「その声はベルフェゴールくんか」

ゆっくりと開いた扉から顔を覗かせたのは、一応俺らのボスにあたる人物
俺はそいつを長い前髪越しに少し睨みつける

「……」

「やあ、君と会うのはいつぶりだったかな」

王子に向かって吐き気がするような優しい笑みを向けた後、ベッドで眠るAに視線を動かす
眉根を寄せたじじいは、水と薬、折り畳まれた紙が乗ったトレイを部屋の中央にある机に置いた

「Aちゃんが目覚めたらこれを頼むよ」

そう言いゆっくりと扉に向かう

(チッやっぱり嫌いだぜ)

何を考えているかわかんねーし、7年前＿もう少しで8年前のクーデターを起こしたヴァリアーにも＂無償の愛＂とやらを振りまき続けるのも意味わかんねえ

Aの手を少しだけ強く握り早く出て行けとじじいを睨みつける

「ああ、それと＿」

今まさにドアノブに手をかけていたじじいが緩慢な動作で振り向く

その瞳は俺を見ているようでもあり、Aを見ているようでもあった

「彼女をこれからも大切にね」

最後にまたあの笑顔を見せると今度こそ去っていった

(今も大切にしてるってんだよ)

舌打ちをしつつもじじいが持って来たトレイを渋々取りに行く

「早く治せよA」