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「ずるいこと、何にもしてない」


そっとお腹にまわされた細い腕。
背中にあたる感触は……はぁ、もう
お、俺、我慢してることだってあるんですからね……!


「健人くん拗ねないで。私のこと、大人に見すぎだよ?私だって……」



ちょっとだけ口ごもりはじめたAさんの
次に発せられる言葉は何だろうと
耳に全神経を集中させた。



「……すごくカッコ悪いから、あんまり言いたくないけど……」



首を後ろにむけると
背中にぴたりと顔をくっつけていた
Aさんがこっちを向いて

困ったような瞳で俺を見つめた。


「……いま、高校生になって
すごく近くで健人くんを見るのって
どんなに素敵なんだろう、とか

考えたりしちゃうの」



AさんもAさんで
俺との年の差で悩んでくれていて



なんだろう。
俺だけじゃないって
すごい嬉しい。

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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2017年10月22日 0時

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