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「風磨くんもう帰っちゃったの?」
「言っとくけど彼氏じゃないからね。先輩は否定しなかったらしいけど……って、なにこれ」



先輩がくれたプリンを冷蔵庫に入れようと思ったら、珍しく中がギチギチだった。

大量のスポーツドリンク、栄養ドリンク、ゼリー ……なにこれ。



「ママ、私そんな死にかけだった?」
「それね、風磨くんが今週毎日持って来てくれたのよ」
「……え?」
「昨日、娘さんは何がお好きですかって聞かれたからプリンかなあって言ったら今日持ってきてくれたのよね」



うそ、菊池先輩が?

貢がれたお返し……って、こんなのきっと 私の分 こえてるじゃん。


ああもう、どうして今日は金曜日なの?
菊池先輩と会えるの、次は2日後じゃない……。




その日の夜から、月曜日の朝まで
久しぶりに素敵な夢を見たの。


ただただふたりで笑い合う、幸せな夢
ずっと続くと思ってた日常……。


いつか本物の海を見せるって、約束してくれたね……。


















中島先輩が授業中作ってくれたという
消しゴムハンコ。

少しサイズが小さくなったことで、毎日私だけでぎっしりの交換ノート
欄外に「みました」と押してくれた。





「じゃあ行く?海見に」
「えっ、先輩 最近優しすぎません?」
「俺は元々優しいんですけど」



でも明らかに、前より私に向ける視線が
優しいのは確かだ。

逆に怖いぐらい。



「でも私、海見たことはあるんで……」
「は?」
「ありません、ぜひおともさせてください」

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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2021年8月22日 22時

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