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｢菊池先輩、ありがとうございます……、今まですみませんでした……。そして彼女さんとお幸せに……｣
｢ああ、ちゃんと話して きちんと別れてきたよ｣
｢…………えっ、どうして……！｣
｢どうしてって……、話しても話さなくても 答えは決まってたから。 俺、一途な子が好きだもん。目移りとかされるくらいなら その子に俺はふさわしくないんだよ｣
そんな……私の中のシナリオが狂う。
｢お前には感謝してるよ、一応。きっかけがなかったら 長いことモヤモヤしてたと思うし｣
｢ほんとに、それは菊池先輩にとっていい選択ですか？｣
｢ん。言いたいこと全部言ってきたし。大丈夫。……それより、手伝ってくれるんでしょ？俺が幸せになるために｣
｢もちろん……なんでもしますよ｣
｢じゃあ、俺のことばっかり考えてないで、お前も幸せにならなきゃだめだよ｣
｢……どういう理論ですか？｣
｢お前は“ ふうまさん ” の幸せを望んでるんだろ？その“ ふうまさん ” は何よりも 過去のお前のことだけを思って お前の願いを叶えるために 結婚せずにそばにいた。……お前が幸せにならないと 報われないだろ｣
……考えてなかった。 そうだ、ふうまさんはとにかく優しかった。 籠の中の私じゃ 見ることができなかったもの、触れることができなかったもの…… ぜんぶ教えてくれたのは彼だった。
いつも、私のことを思ってくれていた。
｢お前の話を聞いている限り、そいつがいちばん望んだのは お前の幸せだと思うよ。
お前が俺の幸せを願うなら、俺も 出来ることをする｣
｢なんでいきなり……｣
｢お前の辛い顔も泣いてるとこも見たくない。なんか、もうじゅうぶん見たかんじする｣
それってどういうこと……？
口を挟もうとしたら また思い出したみたいにカバンの中を漁った。
｢一応、ゴミ箱に残ってたけど 表紙とか結構汚れてたからさ……同じのなかったから、これで我慢して？｣
ユニコーンに乗った双子のおほしさまのキャラクターが描かれたリングノート。
まさか、菊池先輩がサンリオの中でもゆめかわ♡なキャラクターをチョイスするとは思わなかった。
｢あ、ありがとうございます……｣
｢お前さえ良ければ、続きにそれ使って｣
｢それ、って……交換ノート続行していいんですか？ 私もう、先輩に関わっちゃいけないんじゃ……だって、嫌われてるし……｣
｢ほんとに嫌いなら見舞いなんてこねーよ｣
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作者名：ゆき
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2021年8月22日 22時
