夢で恋は終わらせない。 Fuma.K (ページ1)

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幸せな日々が突然終わりを迎えた。

連日に渡る高熱と全身に現れた発疹
ああそうか、私もなのか。

咳のしすぎて喉が枯れているというのに
口の痛みで、水分をとることができない。

私はいま酷い醜い姿をしているでしょう？
化け物みたいでしょう？

せめてあなたが笑ってくれる理由になれば
良かったのにこんな姿になっても
私のそばを離れることは決してせず
涙のあとが乾いた頬を新たに一筋こぼれ落ちた。

感染力が強く治療法もない。

誰もが彼がこの部屋に入ることを許さなかった。それでももうすぐ逝ってしまう私のそばにずっと彼は居てくれた。

自分でも死期がすぐそこにせまっていることはわかっていた。
彼が私のそばにいて、彼にも感染して……なんて容易に想像できる展開が悲しかった。

いよいよもう駄目だ。まぶたが重い。

ずっと手を握りしめていた彼が声をかけた。

「幸せにしてやれなくてごめん」

謝らないで、私は幸せだった。

「次は絶対にお前のことを幸せにする」

本当に？嬉しい。次こそはお嫁さんにしてね。

「だからお前も俺の事を探してくれ」

約束だよ。

伝えたいのに声が出ないや。

そんなに泣いて、男前が台無しだよ。
ねえふうまさん、笑って……。

目を覚ますと背中に汗をぐっしょりかいていて私はボロボロに泣いていた。
ふうまさん、と私が心の中で呼んでいた彼みたいに。

夢のわりには内容があまりにも鮮明すぎた。

起きたての頭で整理するのは
物語が壮大すぎた。

もしかして、もしかして

ぐしゃりと頭を掴む。なぜなのか、昨日の事のように内容はしっかり覚えている。

ふうまさんを探さなきゃ。
今世で課せられた自分の使命、なんて
大層な言い方をして主人公ぶってみる。

だってそうでしょう？夢なら起きた瞬間から忘れていくじゃない。

これはきっと前世の記憶。