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「俺も人の面談するなんてはじめてなんだよ〜、といっても今日するはずだった人がおやすみってだけなんだけど、できるだけ若い社員とリラックスしてお話しよう〜ってかんじだから、気遣わないでね?
いくつか質問させてもらうけど、思ったまま答えてくれたらいいからね」
まだ頭がぼんやりとしていたから、椅子を引いて、松島さんより先に座ってしまい ハッと顔を見る。
おひさまみたいな笑顔で 今日はそういうのいいからお話しよ?と優しく言ってくれてホッとした。
「営業アシスタントってどう?電話とか多いでしょ?」
「はい……ほんとにずっと鳴ってるんだなってかんじです」
「あ、でもこの前 総務部長が褒めてたよ?電話、ハキハキしてて良かったって」
頑張ってるじゃーん、と言ってくれるけど
違うんです。私全然、何も出来てない。
「えーっと、第2営業部の人たちとはどう?担当が……佐藤さんか!歳近いし……話しやすいんじゃない?」
佐藤さん……。
「ん……?どんな感じだろ営業って、俺あんま詳しくなくてさ、」
「なんか、もう……」
言っちゃダメ、思いはしたけど
口にしちゃいけないって思ってた言葉が
すぐそこまできていた。
「辞めたいなって……」
目の奥がぐっと熱くなって、こらえきれなくて涙がこぼれた。
「えっ、えっ、中島さん……?!ちょ、ちょっと待っててね」
ハンカチ……今日のスカートはポケットなしだから机の上に置きっぱなしだ。
やだもう、こんなはやく会社で泣いちゃうなんてカッコ悪い。そもそも悪いのは私なのに。こんな自分……めちゃくちゃ嫌だ。
「中島さん!これ使って!」
側面にお花がかかれた黄緑色の箱ティッシュ。でかでかと《松島》と名前が……。
「あげる!いっぱいあるから!」
「……ありがとう、ございます……」
眉毛をへの字に曲げた松島さんが顔を覗き込む。お言葉に甘えてティッシュを1枚取る。
「そんなにしんどい?仕事……。言える範囲でいいから話してみて?」
広げていたノートを閉じて、メモをとる意思がないことを示される。面談のはじまり。
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ケイト(プロフ) - コメントは初めてですが、ゆきさんのお話大好きです!パスワードのあるのも見たいですが、またパスワード配信することありますか? (2022年7月9日 20時) (レス) id: 54343094b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ヴィントさん» コメントありがとうございます(*^^*)ボディーブロー!(笑)楽しんで頂けて何よりです!ゆっくりな更新ですが、よろしくお願いします(つω`*) (2021年8月21日 22時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
ヴィント - 最高です、いつも素晴らしい作品ありがとうございます…!風磨くんにボディーブローもらってる感覚です(キュンキュンしすぎてお腹にきます…)これからも楽しみにしてます! (2021年8月15日 21時) (レス) id: 8fc4483935 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ぞんxxxさん» めちゃめちゃ嬉しいお言葉ありがとうございます!( ´:ω:` )これからもニヤニヤしてもらえるよう頑張って書いていきます! (2021年7月6日 23時) (レス) id: d091d9d96a (このIDを非表示/違反報告)
ぞんxxx(プロフ) - クズな風磨くんがかっこよすぎます…!ゆきさんの書く風磨くんにいつも惹かれて、でもクズで、ニヤニヤが止まりません…!笑 (2021年7月4日 1時) (レス) id: 16adb63bad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2021年5月11日 20時