可愛い君は、俺のもの。Fuma.K

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｢はい、少々お待ちください……｣

保留を押して在庫を確認……えーっと、あれ、商品が出てこない……聞き間違えた？えっと、……。

催促するかのように電話が鳴り響く。
ぼそりと佐藤さんが呟いた。


｢調べるの、時間かかりそうならあとで折り返すって先に言って。商品知識もない中調べるのキツイでしょ｣
｢っ……、はいすみません……｣


ダメだなぁ、はじめなんだから当たり前なのに すぐに落ち込むのやめたい。

最初からできる人なんていないって、わかってるのに。


｢いやいや、そこをなんとか！あざーっす！｣


なんであんな楽しそうに電話できるんだろ……意味わかんない。


｢中島さん、手空いた時はカタログとか見て勉強して。商品を覚えないと仕事するのもキツイから｣
｢…………はい｣
｢佐藤クン、俺の可愛いAちゃんあんまりいじめないでね？｣
｢別に、そんなつもりないですけど……｣


女性社員を呼び捨ては……と苦い顔をした課長に言われ、風磨くんは社内だけちゃん付けで呼ぶ。それはそれでどうなのかと思うところはあるけれど……。


｢Aちゃんシュレッダーする？無心になれるよ｣


各自でしようってかんじなんだけどね、俺めちゃくちゃためてんの〜、と分厚い紙の束を抱える。


｢できるだけ週末にして、金曜日ゴミで出すのが理想。月曜からゴミ袋あると見栄え悪くて注意されたりするんだよね｣
｢……はい｣
｢はじめだし、あんまり気にすんなよ｣


きっと、身内みたいなものだから風磨くんはめちゃくちゃ優しくしてくれてる。



なんだろう、優しくされているというのに
なんだか惨めな気持ちだ。



社会人ってこんなものなの？

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