可愛い君は、俺のもの。Fuma.K

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｢お疲れ様です｣


お客さんのところにあさから直行していた佐藤さんとは今日はじめまして。｢お、お疲れ様です……｣と苦しい声で挨拶した。


私はいま紙詰まりと格闘中。


｢Aちゃん頑張れー、破っちゃったらまた詰まりの原因になるから絶対破らないでねー｣
｢なんでそんな脅すんですか！……あ、破れちゃった……｣


なにがどうなってこんな詰まっているのか……。風磨くん変わってよ、とちらりと見るけどにんまり笑うだけ。


｢トレイ取り外して腕突っ込んだほうがいいんじゃない？｣
｢腕……｣
｢俺よりAちゃんのが細いんだし｣


取り外す……？きょとんとしていたら電話がかかってきたとかで風磨くんは席に戻る。



モタモタしていたら佐藤さんがこっちにきて何の躊躇いもなくトレイを取り外して腕を突っ込んだ。そっか、佐藤さん細いから余裕だよね……。取り出した紙を確認するとちょうど敗れた箇所と大きさがぴったりだった。


｢あ、ありがとうございます｣
｢ん……｣


元に戻すと印刷が再開される。全70枚。
なんとなく印刷される光景を佐藤さんと見守る。


｢あの……！昨日チョコレートありがとうございました｣
｢いや、うん……俺もちょっと言いすぎたから、ごめん。……すごい印刷してるね｣
｢さっき課長にマニュアルのこと教えてもらって……あ、｣


マニュアルと聞いてぴんときたのか
はぁ、とため息をついて顔を手で覆う。



｢ごめん……中島さんもう習得してるやつもある。もっとはやく言えばよかったのに｣
｢全然！すっごくわかりやすくて……ものすごく嬉しかったです｣


もしかして佐藤さんにとって後輩なんて邪魔なだけだったのかな……なんて思ってた。

元々マニュアルなんてなかったらしいし
多分、ものすごい時間をかけて作って私のために作ってくれたんだと思うと……


｢へへ｣
｢……何でニヤけてるの｣
｢佐藤さんって優しいなって思って｣
｢なっ……！修正箇所ある、……教えるからきて｣
｢はーい｣



意外とすぐに仲良くなれるかも、なんて
自惚れてもいいかな？

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