短編〜夢の続きが見られますように〜

３ ページ13

「わかったよ。
もう1回やるから、お前らちゃんと見とけよ。
Aも嫌だろうけど、もう1回な」

宏光が私に目合わせてくるから、目をそらせてしまう。

「A、恥ずかしがんなよ。
俺まで照れるじゃん」

何か変な雰囲気。

宏光のそんな口調初めてだよ。

空気に耐えられなくて、宏光から離れるように、少し座布団をずらす。

「A、逃げんなよ」

肩をつかまれて、宏光に強引に引き寄せられる。

今度はしっかりぎゅっとされる。

宏光の胸の中に顔を埋める。

体温を感じて、息が苦しくなる。

「ハグだから、Aもちゃんと俺に腕まわして」

耳元で掠れた声。

「……うん」

宏光の体にそっと腕をまわす。

その瞬間、宏光の腕に力が入って、もっと体が密着した。

宏光の心臓の音が聞こえる。


「10、9、8……」

みんなの数える声が聴こえたけど。

何度か心地良くて、カウントが終わらなければいいのに……
って思ってしまった。


「はい、おしまい！
みんな、これで満足？」

「宏光、完璧だわ。
Aもドキドキしちゃったんじゃない？」

「するわけないじゃん！
だって宏光のハグだよ！！」

顔がめちゃくちゃ熱いのと、恥ずかしさでそう言ってしまった。

「マジでー！
俺の本気モードだったのに、ショック！」

宏光が笑ってみんなにそう言った。

宏光はどんな気持ちだったんだろう。

怖くて、その後、宏光の顔が見られなかった。

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