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第1話 ページ3

「ハァッ、ハァッ…。」


ゲホッと音を立て咳をすると、口からは赤黒い液体が出る。


ギュッと手を当て止血を試みるが、脇腹から出る血は止まらない。


『逃げられると思っているのか、荊。』


あの男の声が頭の中で響いている。


殺してはいないがしばらくは動けないし、私のことも追っては来れないはずだ。


だが、私の方ももう限界だ。


歩く足が震える。



どこかもわからない二つの家の狭間に入り、ずるっと座り込んだ。



「…死ぬかな。」


多分このままだとここで死ぬ。


けど、それでも構わない。


私にはもう、生きる理由なんてないんだから。







「なんだい。死にかけの野良猫が迷い込んでるじゃないか。」


声のした方を見上げると、1人の老婆がタバコをふかしてこちらを見ていた。


「あんた、こんな所で何してるんだい。」


「・・・。」


「まぁ、私らには関係ないがね。店の横で血まみれのまま死ぬのだけはやめとくれよ。客が来なくなっちまう。」


そんな事を言われてしまってはもう立ち去るしかない。


ゆっくりと足に力を入れるが、完全に立つ前にまたずるっと座り込んでしまった。


身体が悲鳴を上げている。



「……はぁー。何で私のとこには厄介な奴しか寄ってこないんだい。ほら、立ちな。」


少し何かに毒吐きながら、彼女は私の肩を支えた。


「たま、湯と包帯を用意しとくれ。まったく、助けての一言くらい言えないもんかね。」


「了解しました。お登勢様。」


緑の髪の子が返事をしてお店の中へと消えた。


「…お、と…せ。」


「そうさ、私の名前だよ。」


お登勢。



ここは彼女のお店らしい。


中に入ると、酒とタバコの臭いが強く鼻を刺激した。


スナックのようだが、どこか落ち着くような雰囲気のあるお店。



店に入ってすぐ、お登勢が何かを言っていたが私の耳には入って来なかった。




そして、目の前は真っ暗になり私の意識は遠のいた。

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時々雨(プロフ) - 返信頂けて嬉しいです。ありがとうごさいます!のんびりといつまでも待ちますので、無理なく頑張ってくださいね。楽しみにしてます! (2020年9月10日 1時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 時々雨さん» コメントありがとうございます!続きがなかなか思いつかなくて無理かなぁと思っておりましたが、今回そう言っていただけたのでまたストーリーを考えて頑張っていきたいと思います!時間はかかるかもしれませんが自分なりに作成していこうと思います! (2020年9月8日 21時) (レス) id: 201a018e64 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - コメント失礼します。だんだんと主人公が自分と向き合いはじめ感情に名前がつきはじめ、どうなっていくのかと気になります。続きはない感じでしょうか…?とても気になる内容で是非続きを読んでみたいです! (2020年9月8日 16時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - BT21 さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年9月16日 21時) (レス) id: 6f16964e99 (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - 凄い面白いですね松陽先生も出てくるし続き楽しみです更新頑張ってください (2019年9月16日 21時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年6月16日 0時

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