第15話 ページ17
『オイ、こりゃ上玉だぜ。』
____やめて。
『お前趣味悪いな。確かに顔はいいけどよ。まだ13か14のガキじゃねぇか。
…しかも自分の親殺した奴なんて気味わりぃ。』
____触らないで。
『いいじゃねぇか別に……っておい!暴れんなって!テメェ殺されてぇのか!』
頰に当たった衝撃が私の抵抗する意思を容易く奪ってしまった。
『そうそう。大丈夫だって、痛くしねぇからよ。」
____気持ち悪い。
『…助けて。…ひっ、痛い!痛い!誰か…!誰かぁ!!…いや…いやあああああああ!』
____________________
「…A…。」
「っ?!」
気づけば私はすぐそばにあった刀を声のする方へと向けていた。
耳に響く金属音がその場に鳴る。
その男の喉元に向かって伸びていた刀は、寸前で彼の刀に防がれていた。
お互いが力を入れているためガチガチと刀が音を鳴らす。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ。」
「………俺じゃなきゃ死んでやしたぜ。」
「お、きた…?」
「とりあえず刀しまってくだせェ。」
そう言われてやっと気づき急いで刀を鞘へしまう。
なんだろう。
気持ちが悪い。
昔の夢を見た。
汗が止まらない。
これは…なんて感情なんだ。
「珍しく昼寝してるもんだから近づいてみれば…やっぱり女の寝込みなんか襲うもんじゃねぇや。」
「ご、ごめん。」
「…魘されてやしたぜ。悪い夢でも?」
___夢。
夢なら、良かったのに。
「平気。もう大丈夫。」
少しこの場にいづらくなって立ち上がった。
外に出て少し気分転換でもしよう。
「大丈夫には見えやせんが。…何をそんなに怖がってるんですかィ?」
「え?」
沖田の言葉に私は振り返った。
彼は私を少し興味深そうな目で、それでいて心配そうな顔で見ていた。
「怖い…?」
「震えてますぜ。それにさっきの刀といい…自分を守ろうとしてとった行動だとしか俺ァ思えやせんがね。」
そう言われて初めて気づいた。
手が震えている。
自分の両手を眺めて唖然とした。
「…だ、大丈夫。ちょっと………土方に、怒られる夢を見ただけ。」
必死に考えた言い訳がなんとも嘘っぽい。
「…そりゃあ、気味の悪い夢なことで。」
そう言った沖田をおいて私はすぐに部屋を出た。
誰もいない所でうずくまる。
「はぁっ、はぁっ……怖い…?」
これが…恐怖。
二度と味わいたくないような気持ちだ。
真選組に来てからおかしい。
私の中でどんどん何かが変わっていく。
いや……戻っていくのか。
おかしいのは私だ。
「……怖い。」
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時々雨(プロフ) - 返信頂けて嬉しいです。ありがとうごさいます!のんびりといつまでも待ちますので、無理なく頑張ってくださいね。楽しみにしてます! (2020年9月10日 1時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 時々雨さん» コメントありがとうございます!続きがなかなか思いつかなくて無理かなぁと思っておりましたが、今回そう言っていただけたのでまたストーリーを考えて頑張っていきたいと思います!時間はかかるかもしれませんが自分なりに作成していこうと思います! (2020年9月8日 21時) (レス) id: 201a018e64 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - コメント失礼します。だんだんと主人公が自分と向き合いはじめ感情に名前がつきはじめ、どうなっていくのかと気になります。続きはない感じでしょうか…?とても気になる内容で是非続きを読んでみたいです! (2020年9月8日 16時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - BT21 さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年9月16日 21時) (レス) id: 6f16964e99 (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - 凄い面白いですね松陽先生も出てくるし続き楽しみです更新頑張ってください (2019年9月16日 21時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年6月16日 0時