第11話 ページ13
「あ、山崎ここで止めて。帰りは歩くから。」
そう言うと山崎は頷いてパトカーを止めた。
車から降りて目の前にある家を見る。
扉をガラッと開けると、またあの匂いに包まれた。
「いらっしゃい……って、なんだい。あんたかい。」
「こんにちは、お登勢。」
「随分と顔色が良くなったみたいじゃないか。真選組のところでお世話になってるんだって?」
銀時が色々と話したんだろう。
私のことはもう知っているようだった。
「うん。銀時いる?」
「あのバカなら上にいるよ。まぁゆっくりしてきな。」
そう言ったお登勢にお礼を言って二階へと続く階段を登る。
扉を開けた瞬間、中から物凄い音が聞こえた。
「おんどりゃあ!!気持ちわりぃーんだよこのクソゴリラがぁ!!」
「やめて姉上!!それ以上やったら近藤さん死んじゃう!」
「いけぇ!姉御その調子ネ!!」
「お前ら外でやれぇ!俺の家が壊れちまうー!」
中で何が起こっているのかは知らないが1つだけわかった。
近藤が迷惑をかけている。
リビングを覗くと、ちょうど知らない女が近藤の腕を折ろうとしているところだった。
私を見つけた銀時が急いで駆け寄り手を掴む。
「Aあの怪力女止めて!ゴリラ同士の喧嘩は外でやれって言って!」
「なんだとこのクソパーマがぁ!てめぇも腕へし折られてぇか!!……って、あら。このお綺麗な人はどなた?銀さんの知り合い?」
突然コロっと態度を変えた女はニコッと微笑んだ。
「あ、ああ。まぁ古い友人だ。ちなみに真選組のお手伝いさんってところ。」
「まぁそうなの。初めまして。新八の姉の妙と申します。」
「A。」
「Aねよろしく。」
そう言って手を差し伸べてきた。
訳がわからず戸惑っていると、妙が私の手をスッと掴んだ。
それに少し驚き、手がビクッと震える。
その様子を見た妙は何も言わず、ただ優しく私の手を握った。
「こうやってお互いの手を握るのよ。これで私達はお友達。」
_____友達。
パッと顔を上げて銀時を見ると笑っていた。
「いいじゃん。たまには人と触れ合ってみるのも。」
そう言ってまるで自分の子供をあやすかのように私の頭をガシガシと撫でた。
「あのー…仲良くしてるところ悪いんだけど俺を病院に……」
「まぁ近藤さんどうなさったの?その怪我。」
「いやお妙さんが…」
「大変ねぇ、じゃあそのままくたばってくださる?」
そんな会話を聞きつつ、握られていた手を眺めた。
あの瞬間、なんだか心がホッとした気がする。
これはなんていう感情だっただろうか。
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時々雨(プロフ) - 返信頂けて嬉しいです。ありがとうごさいます!のんびりといつまでも待ちますので、無理なく頑張ってくださいね。楽しみにしてます! (2020年9月10日 1時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - 時々雨さん» コメントありがとうございます!続きがなかなか思いつかなくて無理かなぁと思っておりましたが、今回そう言っていただけたのでまたストーリーを考えて頑張っていきたいと思います!時間はかかるかもしれませんが自分なりに作成していこうと思います! (2020年9月8日 21時) (レス) id: 201a018e64 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - コメント失礼します。だんだんと主人公が自分と向き合いはじめ感情に名前がつきはじめ、どうなっていくのかと気になります。続きはない感じでしょうか…?とても気になる内容で是非続きを読んでみたいです! (2020年9月8日 16時) (レス) id: 53cd215612 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - BT21 さん» 面白いと言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年9月16日 21時) (レス) id: 6f16964e99 (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - 凄い面白いですね松陽先生も出てくるし続き楽しみです更新頑張ってください (2019年9月16日 21時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユーリ | 作成日時:2018年6月16日 0時