第25話 ページ26
「人間ってよくこんな話思いつくよなー。」
「…そうですね。」
「あ、こいつ裏切り者だったんだ。へぇ。」
「……。」
「これ伏線か。…あ、また死んだ。」
「うるさいんですけど。」
痺れを切らしてついそう言ってしまった。
あ、やば…。
そう思いながら目の前に座るルク様をチラッと見ると、目を細めて笑った。
「誰に向かって言ってんの？」
「だ、だってさっきからずっと喋ってるじゃないですか。」
「喋っちゃダメなの？」
「ルク様は本を読む時喋りながら読むんですか？」
「そんなわけないだろ。お前の邪魔してるだけだ。」
その言葉にイラッとしたが、これ以上口答えすると本当に恐ろしいことになりそうなのでやめた。
ため息をついた後、また手元にある小説に目を戻した。
ぺらっと本のページを捲る。
「…それ面白いの？」
「まぁまぁですね。」
「どんな話？」
「恋愛小説です。」
「またかよ。なに、恋でもしてんのか？」
揶揄うようなその言葉についピクリと反応してしまった。
恋？
私が？
……誰にそんなものを。
「…馬鹿馬鹿しい。それにこれはこの前の続きですよ。これを読めば恋愛とはどういったものかが分かるかもしれません。」
「恋愛初心者かよ。」
「そうですけど？だから前に私には理解出来ないって言ったでしょう。」
「そんなこと言ってたな。で、それはどうゆう話なんだ？」
「主人公の夫が自分の妹と不倫をしてその仕返しに妹の夫と不倫をするんですが、本気で妹の夫に惚れちゃったというお話です。」
「それ恋愛小説じゃないだろ。」
彼の的確な言葉に笑ってしまった。
「ふふっ。確かにこれは学生とかがするような恋の話ではないですね。」
「で、お前はその主人公の何が理解出来ないんだっけ？前にそんなこと言ってたよな。」
「彼女の言葉が理解出来ません。」
「言葉？」
「はい。彼女が、自分が愛した男に言った言葉です。」
「どんな？」
「“私はあなたに溺れている”と。…そう表現していました。」
溺れるとはいったいどういうことだろう。
溺れるくらい苦しい恋？
自分を見失うくらい夢中になる？
それは一体、どれほどのものだろう。
「ルク様には、その意味がわかりますか？」
「さぁな。」
そう言いながら彼は立ち上がり、私の横へ来るとその手を伸ばした。
彼の冷たい手は私の頬に触れ、それが段々と首元から肩へと下がる。
「立て。」
赤い瞳を細め、彼はそう言って笑った。
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ユーリ(プロフ) - きのこさん» コメントありがとうございます！これからゆっくりですが更新出来たらなって思ってます！読み返していただいてありがとうございました(^^) (3月21日 22時) (
レス) id: 8c2671b61f (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - 久々に読み返そうとしたら更新されてた！このお話とても好きなので嬉しいですありがとうございます！ (3月12日 11時) (レス) id: 7efd4a51d7 (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - しゃけおに専門家さん» コメントありがとうございます！更新がんばりますのでよろしくお願いします！ (2022年4月24日 12時) (レス) id: 1b15c65b45 (このIDを非表示/違反報告)
しゃけおに専門家 - 好きです！ルク様の作品は少ないので更新が楽しみです！ (2022年4月23日 22時) (レス) id: d97bc805fa (このIDを非表示/違反報告)
ユーリ(プロフ) - なっちゃんさん» コメントありがとうございます！これからもよろしくお願いしますね！！ (2022年3月28日 0時) (レス) id: 53b3cc7ad6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユーリ | 作成日時：2022年2月26日 3時
