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A 「紫耀、遅いね」
「うん〜、まあもうそろそろ
腹減った〜！って帰ってくる頃だよ笑」
A 「そうだよね！」
「ごめんA、看板変えてきてもらってもいい？」
A 「あ、うん！わかった！」
紫耀が出ていってしまったからか、
それともキスをしてしまったからなのか、
無駄に明るく振る舞う私達。
まるで本当のお互いの表情を見るのを
拒むように。
傷付くのが、怖いから。
毎日のようにここに来て、
平日は仕事終わりにそのまま。
土日は昼頃からフラッと。
カウンターの1番端っこに座る。
そこが私の特等席。
ここだとふたりの立つカウンターとの
境の出入口が真横にあって、
混み出すと紫耀が決まって
『出番やで』といつしか私用となった制服を渡してくる。
そのせいで、もう一通り手伝いは出来るようになっていた。
それがなんだか嬉しくて
幸せだと、本気で思っていた。
看板を変えるため外に出ると
日が沈みきって真っ暗な世界。
雨が降るのか、じめっとした湿気混じりの空気が
触れることなく行き場の失った左手と
紫耀の涙を脳裏に浮かばせる。
店内に戻ると
慣れた手つきで仕込みをする勝利。
その唇は、強く結ばれていた。
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いつのことだったか
いつものように家にふたりが押しかけてきて
映画を見た時のこと。
話の内容は話題になった恋愛もので
正直私は見たかったものだけど
紫耀はいいとして勝利も興味あるの？と
不思議に思いながら
ソファーに並んで見ていた。
それが想像以上に序盤で泣けてしまって
ティッシュを取ろうとすると、
『ぅっ、うう、、、』
A 「え？ちょ紫耀？」
『なんでぇなんぅ？！こいつなんで別れるんぅ！ぅう、、』
A 「え？！笑笑」
『俺そんなん嫌やあ〜！！んぅ、、』
A 「ねえちょっと泣きすぎ笑
てか食べるか泣くかどっちかにしいや笑笑」
『おれぬれおかきなきゃ生きていけへん』
A 「うん知ってるから涙拭いて、ほら」
はあ、面白かった。
もはや自分が泣いてたこと忘れてた、、
A 「ぇっ、うそ」
ふと勝利を見ると
いつの間にか私がさっきまで持っていた
クッションを抱いて静かに涙していた。
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作者名：リボンさん | 作成日時：2018年8月22日 22時
