第四場 ページ43
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「お疲れ様です。ああ、その道具は倉庫へ持っていって。あっ、これはまだ必要ですわ。あちらへ運んで」
…大忙しの一日だった。
今年も賑やかに執り行われた春祭り。
ジェミンとマークの花魁道中は大盛況のうちに終わり、残すはジェミンの見送りだけ。
一日中 あらゆる場で仕切りを行っていた私は、それはもうへとへとだけれど
…ジェミンの旅立ちは、しっかりと見守っていたい。
ようやく一息をつけた頃、お客様にお引き取りして頂いた大通は さっきまでの喧騒が嘘のように、静まり返っていた。
だんだんと空の藍が強くなっていく。
桜の花弁が、揺れている。
楼の入り口の前には、男娼が数名集まりつつあった。
私も外の様子を伺いながら、ジェミンが上階から降りてくるのを待つ。
…ジェミン、
本当に 居なくなるのね。
訳もわからない感情が、私の心を揺らす。
…寂しさ？感動？……分からない。
そんな時、突然
風を切るように
LC「楼主様ッ、」
息の切れた声と共に赤い髪を揺らして
ルーカスが私に駆け寄ってきた。
「あら、どうなさったの」
LC「アノ… 部屋、開けてもイイですカ？」
「…部屋？貴方の部屋を、ですか？」
LC「ハイ」
「今日と明日は休業です。いけません」
LC「スミマセン、わかッテるケド… アノ、どうしテモ、開ける！あ〜、開けタイ？人がいて…」
一体 どうしたと言うのか。
いつもよりずっと切羽詰まった様子のルーカスを怪しむ気持ちと、心配する気持ちが両方湧き起こる。
…まあ、太夫の彼のことだ。
きっと ろくでもないお客は入れないはず。
ここは日頃の彼の行い、貢献度に比例する信頼に寄せて、許してやってもいいだろう。
「…食事等は出せませんわよ。それでも良いなら、と お客様に確認を取りなさい。あと、なるべく早くお引き取り頂くこと。お伝えして」
LC「ホントですか！アリガトウござイます！」
そう、ぺこりと頭を下げるなりやはり突風のように去っていった べらぼうに大きな背中。
…何をそんなに、一途になるお客様が居るのだろう。
愛に燃えるなんて下らない。
溜め息をつき、再び大通へ目を戻した。
…そして、彼は どこからともなく現れる。
いつでもそうだ。
それなのに、すぐ横にその気配を感じると、
少しだけ 安心する。
ようやく、私の半分が 戻ってきた
…そんな感覚になるの。
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むうみん - これもしかして、、ジェミン編もテヨン編とと同じ時間軸、世界線に存在してますか？面白すぎる、、いろんな主人公の視点で見れますね。官能的だし、すきです。言葉も難しいの多くてすごい、、応援してます (2021年3月14日 17時) (
レス) id: ad7920768e (このIDを非表示/違反報告)
ray - 一昨日この作品を見つけ一気読みしました。主人公の揺れる思いに胸が苦しくなります、、。これから主人公とテヨン（テンも？）がどうなってしまうのか続きが気になります。大変だとは思いますが頑張ってください！更新首を長くして待っています^^ (2021年1月15日 18時) (レス) id: 3feffcfcf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月
| 作成日時：2021年1月14日 17時
