遊郭物語 -新都編- 伍 (ページ2)

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七月二日曇り

いいことを思いついた。

テヨンが此処へやって来た昨日、七月一日を
彼の誕生日としよう。

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八月三十日曇り

テヨンは物事の覚えがいい。

此処へやって来てひと月と少し、
会話を滞りなく出来るようになり文字もかなり書けるようになった。

生活にも慣れ、よく笑うようになった。
無邪気に笑う姿に、私も心を許して
午後はお茶と歌留多遊びを共に楽しんだ。

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九月三日晴れ

テヨンが文字の読み書きを、完全に覚えた。
古典を読むにはまだ少し時間がかかるようだが、着実に成長を遂げている。

先日テヨンに紹介したヨンホとも、順調に仲良くなっていると言った。
午前中に蹴鞠をして遊んだと、テヨンが嬉しそうに報告してくれた。

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十月二十八日雨

チョン・ユンオ、キム・ドンヨンという少年二人が新たに売られて来た。

テヨンやヨンホと、然程年齢が変わらない二人を早速彼らと引き合わせ、早く此処での生活に慣れてもらえるよう取り計らった。

最初は二人とも緊張していた様子だったが、夜にはすっかりテヨンたちと打ち解けた様子で安心した。

こうして思い出してみると、テヨンもすっかり頼り甲斐のある顔つきになって来た。自分の審美眼に狂いは無いと、こんな楽しい日くらいには褒めてみたいと思う。

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十二月十日雪

年末年始が近付き、ついに会社の方が忙しくなってきた。

朝、テヨンが作業を手伝うと、率先してユンオ、ドンヨンを連れて来てくれた。

仕事のあと、彼らに英吉利(イギリス)のお茶とお菓子を振る舞った。
「ありがとう」と素直に言える子たちで、よかった。

最近、私がずっとテヨンをそばに置いているので
周囲の人間もテヨンを特別扱いするようになってきた。

彼もその宿命に対する自覚を、いつかは持つのだろうか。

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