普遍的 ページ10
*
眼がさめると、隣にいたはずの彼女がいなかった
おれは寝起きで張りつく
すると、彼女は少し離れたところへいたらしく、すぐさまおれの傍へきて、手を握ってくれた
「おはよう、お寝坊さん。 身体は大丈夫?」
久しぶりにまともに眠ったからか、身体の節々が痛かった。 そのことを伝えると、彼女は、いつかおれが渡した腕時計を見て、もうお昼だからね、とほほえんだ
「そっかあ……」
「一応お昼ごはん作ったけど、どうする?」
いらない、と答えるより先に腹が返事をする
Aは丸い眼をぱちくりとしてから、口もとに手をあてて笑った「身体は正直なんだから」
「起きて、顔洗わなきゃね。 それとも、お風呂のほうがいい?」
「Aが一緒に入ってくれんなら」
「もう、からかわないで」
困ったように笑うAはかわいくてたまらなかった
おれは重い身体を起こして、彼女の頭を撫でた
ずいぶんと懐かしい感覚だ
Aも黙ったまま、ただほほえんでいた
「連続でAのメシ食えるなんて、おれは幸せ者だな」
「おおげさだよ」
「んなことねェよ……」
手をつないで、階段をおりる
普通、普通、普通に笑えている。 普通に歩けている。 普通に息をしている
おれは、普通だ
ラッキービデオ
クッキングママ
105人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玲佳 | 作成日時:2020年4月4日 19時