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普遍的 ページ10





眼がさめると、隣にいたはずの彼女がいなかった

おれは寝起きで張りつく咽喉(のど)を振り絞って、──それは掠れた音にしかならなかったけど──彼女の名を呼んだ


すると、彼女は少し離れたところへいたらしく、すぐさまおれの傍へきて、手を握ってくれた




「おはよう、お寝坊さん。 身体は大丈夫?」




慈悲(じひ)(ぶか)く細められた眼が、おれを映す


久しぶりにまともに眠ったからか、身体の節々が痛かった。 そのことを伝えると、彼女は、いつかおれが渡した腕時計を見て、もうお昼だからね、とほほえんだ




「そっかあ……」


「一応お昼ごはん作ったけど、どうする?」




いらない、と答えるより先に腹が返事をする


Aは丸い眼をぱちくりとしてから、口もとに手をあてて笑った「身体は正直なんだから」




「起きて、顔洗わなきゃね。 それとも、お風呂のほうがいい?」


「Aが一緒に入ってくれんなら」


「もう、からかわないで」




困ったように笑うAはかわいくてたまらなかった


おれは重い身体を起こして、彼女の頭を撫でた



ずいぶんと懐かしい感覚だ


Aも黙ったまま、ただほほえんでいた




「連続でAのメシ食えるなんて、おれは幸せ者だな」


「おおげさだよ」


「んなことねェよ……」




手をつないで、階段をおりる



普通、普通、普通に笑えている。 普通に歩けている。 普通に息をしている





おれは、普通だ

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クッキングママ


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作品ジャンル:恋愛
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作者名:玲佳 | 作成日時:2020年4月4日 19時

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