Alone Together (ページ9)

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センチメンタルページ9

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わたしは彼が眠ったことを確認してから、起こさないように布団から抜けだした

部屋を出て、階段をおりて、置きさらしていた食器を下げる

「……ん、」

気がつくとわたしは泣いていた

彼を嫌いになったわけじゃない。面倒と思ったわけでもない。なのに、どうしてだろう

自身の弱さを包み隠さないキヨちゃんを、恐いと思ったから？

それとも、彼を覆う底なしの深淵を覗いたような気がするから？

弱っているのに鋭いあの眼を見ていると、わたしまで、彼のいる暗闇に吸い込まれそうだった

どうすればいいのだろう

どうすれば、彼を救えるのだろう

たった数日前の彼に会うのが、こんなにも困難になるなんて、思ってもみなかった

わたしはカウンターに飾ってある、初デートの写真を手にとった

幸せそうに笑う、子どものような男女

この日のために、張りきってイメージチェンジをしてきたキヨちゃんはどこか照れくさそうで、初めて襟足に入れた赤も、少し居心地が悪そうだ

写っているのは紛れもなくわたしたちなのだけれど、三年前ということも相まって、まるで他人のように感ぜられる

「……キヨちゃん」

わたしはあなたに、なにをしてあげられるのだろう

わたしがどんなに手をのばしても届かないところへいる、あなたに、なにを…………

その日、わたしは初めて、眠れない夜を過ごした

世界が覚醒するまで、ただじっと、彼のことを想っていた