待ち人来る ページ11
『…………もしもし、
急にお電話すみません、Aです！』
俺の鼓膜を突き抜ける、可憐な声……
じゃなくて
「お、あ……えっと、俺、キヨシじゃなくてキヨ……」
『えっ？ あ、すみません！ ずっとそう読んでました……！』
初めて声を聴けた喜びやら、一番嫌な間違え方をされた悲しみやらでしどろもどろになりながら訂正を促すと、彼女は謝罪をくり返しながら、もう間違えませんと笑った。 その笑い声が、とてつもなくかわいかった
録音していなかったことを、素で後悔するほどに
『それで、わたし時間を打ち違えていたみたいで……もう着いちゃうんです、札幌駅』
「そうなの？ いいよ出ておいでよ。 俺もちょうど用事あって早く来てたから……」
『えっ。 本当ですか？ それなら嬉しいです……ひとりだとどうすればいいかわからなかったので……』
彼女は急いでいるのか、はあはあと荒い呼吸をたてながら俺に電話しているようだった
ひとまず、転んだりすると危ないからゆっくりおいでと伝え、先ほど送りそびれた自分の特徴を告げた
「黒のハイネックとロングコートで……うーんなんて言ったらいいかな、とにかく全身黒で……まあ襟足が赤で、背一八〇センチあるからわかると思う！ 俺も、Aちゃん来たらすぐわかるだろうし……」
少し前の緊張はどこへやら、こうなると早く会いたい気持ちがはやって、俺は立て続けに話した。 彼女もうんうんと頷きながら、着実にこちらへ向かってきているようだった
そうこうしていると、電車が到着したアナウンスが、ここと彼女の電話口でシンクロした「あ、多分今来たやつかな？ 電話しながら来てくれたら一番わかりやすいと思う──」
『そうです！ わかりました、このまま行きますね』
「うん、気をつけて……」
目を凝らして、俺はエスカレーターや階段で、改札へ向かってくる人々を見つめていた
・
・
・
そして見つけた。 あの子だ
何度も何度も見た、あの顔、あのスタイル、あの雰囲気……
彼女はICカードで改札を抜けると、少し周りを見渡してから、前にいる俺にピントを合わせた
手に持っていた携帯の通話を切断し、まっすぐにこちらへ歩み寄ってくる彼女こそが……
「はじめまして、キヨさん。 Aです」
終わり
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ねろる(元ころ嫁)(プロフ) - 続き待ってますめっちゃ好きです🥺 (2023年4月8日 3時) (
レス) @page11 id: 6d6776c0aa (このIDを非表示/違反報告)
玲佳(プロフ) - おれおれさん» 応援コメントありがとうございます！！ めっちゃ嬉しいです！！ もう絶対書きます、早急に書きます！ 今書きます！！笑 (2021年8月9日 10時) (レス) id: f304fe2a87 (このIDを非表示/違反報告)
おれおれ - めっちゃ好きです！！続き待ってます！！ (2021年8月9日 2時) (レス) id: 41a1dc6d18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玲佳 | 作成日時：2021年4月19日 23時
