11. 電話越し ページ12
.
電話みたいだけど電話じゃない。不思議な感覚。
こんないつもみたいな、私と話す時みたいな優しいあったかい声でずっと喋ってるんだ。
この声を聞けるのは私だけじゃなかったんだと思うと胸がちくりと痛んだ。
なにこれ、めっちゃ心狭いじゃん。
てかいまさら何考えてんの私。
少し情けない気持ちになりつつ、
声を聞いたら会いたくなるってよく聞くけど、やっぱり本当なんだなと実感する。
最近、彼がけっこう外食するようになって、帰りが遅かったり変な時間に長いロケの仕事があったりで、前よりたくさん一緒に過ごせてないのは確かだった。
…とは言え、最後に会ったの3日前か。
遠距離恋愛してる人に怒られるわ。
でも今、すごく会いたくなってる。
いつも彼のほうから連絡がくるから、こっちから会いたいだなんてあんまり言ったことなかった。
だって自分より絶対忙しい人に、そんなこと言えないでしょ。
そりゃ言う人はいるだろうし、言った方が可愛いに決まってるけど。
ってなんか勝手にいじけてる自分やだな。
まあ、こんなことを考えるのも連日のジトジトした雨のせいだって言い訳して。
そんな生産性のない思考回路に鬱陶しくなりながらも、スピーカーから流れる規制音だらけのラジオに耳を傾けていた。
すると突然プルルル、と家の固定電話が鳴る。
番号を見たら、あれ？すばるくん。
"え、もしもし？"
'なんやねん家おんのか'
"うん、"
'ケータイ出えへんからさ'
"え、うそ！"
'ほんま'
"鳴ってないよ？"
'なんか変な設定してるやろ'
"……あ、おやすみモードなってた！"
'ほーら、'
こんな遅くまでどっか出歩いてるんかなと思って…、と続けた彼が、急に息を殺したように静かになった。
あれ？通話切れた？
'…………A'
あ、繋がってた。
なんだかやけに向こうが静かになったから、どうしたんだろうと思ってたら、
しばらくして受話器から、むすっとした声が聞こえてきた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 255人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぼぶこ(プロフ) - psycheighterさん» キャラ大丈夫かなと思ってたんですが、そう言っていただけて嬉しいです(笑) 大倉くんですね！ご意見ありがとうございます(^^) (2018年7月30日 15時) (
レス) id: 77ed90e035 (このIDを非表示/違反報告)
psycheighter(プロフ) - こんにちは、大倉くんの話がよみたいです。あと、会見の後もお話は読みたいと思っています。もう、すばるくんの『抱き締めてくれ』が最高に笑みがこぼれました。ありがとうございました。 (2018年7月30日 14時) (レス) id: b7d4950221 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 更新ありがとうございます。一週間たって少し落ち着いてきました。ぼぶこさんの無理のない範囲での更新をお待ちしています。 (2018年4月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 70af02b709 (このIDを非表示/違反報告)
とこに。(プロフ) - 初めまして。私は未だにあのショックを引きずっていて立ち直れていません。ですがぼぶこさんのこの小説を読んで少し穏やかになれました。私はぼぶこさんが綴る言葉が大好きです。これからも応援していきます。ありがとう。 (2018年4月20日 23時) (レス) id: 837c30b592 (このIDを非表示/違反報告)
美穂 - 初めまして。まだまだ悲しい気持ちを引きずっていますが、ぼぶこさんの書くすばるくんに会いたいです。 (2018年4月20日 0時) (携帯から) (レス) id: 70af02b709 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぼぶこ | 作成日時：2018年4月2日 5時
