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Aside
目的地に向かっていた。
少し船が止まった場所が遠かったせいか、時間を気にして焦り始める。
だんだんと足が速くなっていった。
進んでいくにつれて、自分が住んでいた跡が濃く残っている場所が多くなっていった。
あの頃は毎日生きるに必死だったっけ。
昔は雨が多くて困っていたが、干ばつが続いて日差しで困ったときもあった。
今はとても快適な環境だ。
『ここ...私の家か...』
大きな洞窟が見えてきたとき、昔のことが鮮明に映し出される。
ここで、父さんと母さんを看取ったんだ。
急いでいたが、まだ時間はある。
寄ってみようか。
洞窟の中にはナイフや土台代わりに使っていた石が残っていて、生活の痕跡が残っている。
こんな風に私は生きていたんだな。
父さんと母さんが私を呼ぶ幻聴が聞こえた。
思わず振り返ってしまうが、すぐに前を向いた。
もう、私はここでは生きないのだから。
洞窟を出てまた、墓地へと足を進める。
ここからだと歩いてすぐだった。
少し高いところに墓は作った。いくつもの墓をつくり、当時は自分なりに供養したつもりだ。
小高い丘を登ってたどり着く。
こんもりと盛られた土に木の棒を刺しただけの簡単な墓。
気には苔が少し生えているものもあった。
父さんと母さんの墓は少し大きくつくていたため、わかりやすかった。
墓の前に行き、私は言った。
『父さん、母さん。報告が遅くなってすまない。私、この星を出て生きていくことを決めたんだ』
当然、返事は帰ってくるはずはない。
わかっていることだが、見送りがないのは少し寂しかった。
『春雨ってとこでさ、みんな優しいし、みんな馬鹿でさ。面白い人たちだよ。でも、春雨と向き合うなら私はここにはもう戻ってこない』
しゃがんで、墓の土を撫でる。
ちゃんとここにはいるんだと噛みしめて言葉を発する。
『そしてね、ここでの過去を、未練を断ち切らないとって思ったんだ』
私はナイフを取り出し、自分の頭の近くにもっていく。
『こんな方法でしか、弔えない。ごめんね』
ナイフの鋭い音が、そこに響いた。
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ゆう(プロフ) - 雪さん» ご報告ありがとうございます！直しておきました！ (2020年1月28日 22時) (
レス) id: 6c784c5756 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - ちなみに16話の最後から3番目の [ ○○は、よく母から紙を整えられていた]のところです>< (2020年1月7日 20時) (レス) id: 16253bb5bd (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 気になったんですけど、 紙じゃなく髪じゃないですか？ 勘違いだったらすいません。(16話) (2020年1月7日 20時) (レス) id: 16253bb5bd (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - YUKARI♪さん» ありがとうございますー！！妄想力しかないもので拙い文書ですが... (2019年11月29日 10時) (レス) id: 6c784c5756 (このIDを非表示/違反報告)
YUKARI♪ - すごく面白い…どうやったらこんな面白い物が…とにかく！凄い面白かったです！！！ (2019年11月29日 6時) (レス) id: a01ec1bc5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よっちゃん | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月21日 17時
