戯言3-6 ページ7
「ちょっと!どうやって縄を解いたの?あの少年は誰なの?そもそも、貴方が一体誰なのよォ。んもー!早く説明して!」
辿り着いた先はゲームセンター。チカチカと眩い光を放つゲーム機で埋め尽くされた店内は、夜にもかかわらず明るく周囲を照らしていた。
「うるさいなー。クイズ番組じゃないんだからそれぐらい自分で考えてよ。答えがいつもあると思わないでさー。」
何なのこの子!私の事知ってるみたいだったし、あのままほっといても危険だと思ったから連れてきたのに…
もしかして王女を誘拐するよう依頼してきたキースの知り合いだったりする?
ゲームセンターで王女と一緒になって遊ぶ姿を見ていると、特別危害を加えるつもりは無いように見える。でも大事な人質と一緒にいられても困る。
キースの知り合いなら、王女が普通の女の子として過ごせるように同年代の子を仕向けたって考えられるけど、でも依頼するなら初めに言ってくれないと困るわ。
「やった!今の私の勝ちよね!」
「いやいやおかしいよ!さっきずるしたでしょ。じゃなきゃ勝てるわけが……っ!」
「ほらまた勝った〜!あんた弱いわねぇ〜」
「……。」
思ってたより悪い子じゃないのかも…?
あどけなさの残る彼を見ていたら可愛く思えてきた。若いっていいわねぇ。
バキッ
「さ、次のゲームをしよう。」
「え……?ちょ、何して!?」
「ん?何って?」
大きな音に驚いて目をやると、ゲーム機の画面が割れていた。
「こんなインチキゲームなんてあっても誰も得しない。可哀想な被害者が増えるだけだ。だから壊してあげたんだ。」
さも当然のように言ってのける。待って、この子ちょっと……かなりおかしいんじゃない!?
はっと店内を見渡す。騒ぎを聞きつけて店員がこちらへ向かってくるのが見えた。
「直ぐに出るわよ!早く!」
急いでその場を去る。ただえさえ王女様を誘拐してるんだから面倒なことはごめんよ。できるだけ目立ちたくないのに。
「あははは!」
「あんた頭おかしいんじゃないの!?笑い事じゃないでしょ!」
「いやいや、覚えておきなよ。こーゆーのが青春って言うんだぜ。」
どこの世界で店の物を壊して逃げるのが青春だなんて言うのよ!嘘もたいがいにしなさいよ!
「早く乗って!」
急いでバイクを出す。全く反省の色も見せない彼の顔に無意識に眉間にシワが寄る。やっぱり何処かで置いてきた方がいいかもしれない。何かいい案を考えないと。
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イロハ(プロフ) - セイさん» セイ様へ、長い間お待たせてすみません。ですが覚えてくださった方がいてくれてとても嬉しいです。コメントまでして下さって、もっともっと精進しつつ続けていきたいと思いました。これからもよろしくお願いします*ˊᵕˋ* (1月10日 11時) (レス) @page16 id: 7c23aeb2f0 (このIDを非表示/違反報告)
セイ(プロフ) - 続編ありがとうございます。更新通知が来て舞いあがっちゃいました。また神代君の戯言が見られて嬉しいです。欠けた心を持つ神代君と彼に振り回される主人公達が大好きです。次の更新も楽しみにお待ちしております。 (1月10日 8時) (レス) id: ec218c72f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イロハ | 作成日時:2023年12月24日 19時