用心棒が過保護すぎます！【黄】

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『いっきまーす！』


そう言って1番高い8段の跳び箱に向かって走っていく。


バンッ！という大きな音を響かせながらロイター板を両足で綺麗に踏み込んでいく。


空中姿勢も綺麗に保ったまま跳び箱に手を着いて開脚跳び…！


すると思っていた。しかしAはそのまま跳び箱を越えてそのままマットへ綺麗に着地。


こんな風に跳び箱飛べるのAだけだよ。凄いよね。


じゃなくて。いやいや、本気ってそういうこと？普通に何でもないかのように飛び越えていったけど？


ほんとにこの人ハードルみたいに越えて行ったけど？


『空中でひねり入れたらもっとよかったかな？』


そう言いながら近づいてくる。


る「はぁ？バカなの？」


『バカで結構。いやぁもっと高いのがいいね、やっぱ。』


この人自分がしたことわかってます？ありえない…


る「あー、組長に怒られる…」


Aのストッパー役は僕なのに、今回も止めきれなかった。


『しーっ、瑠夏。人前でそんなこと言っちゃダメでしょ。』


る「なんで正義ぶってるんですか。全部の原因Aですけど。」


『まあそんな気にしない気にしなーい。』


る「はぁ…もう無理だ…」


『もう、瑠夏も一発本気で跳んでみたらいいのに。』


る「いやですよ。もっと騒ぎが大きくなるだけです。」


『一回だけ、お願い！』


る「それさっきも聞いたんですけど。」


『瑠夏だって跳んでみたらスッキリするよ？』


る「むーり。」


何回無理と言っても僕の周りを着いてくる。


ずっと着いてこられる方が迷惑なので“仕方なく”跳ぶことにした。


さっきAも跳んでた8段。


僕はちゃんと開脚跳びしましたけど。Aの言うとおり8段は低かった。


『おぉ、凄い瑠夏。跳べるんだね。』


る「それは僕を見くびってないですか？」


『ごめんごめーん。』


このあと家に帰って組長にこっぴどく叱られたのは言うまでもないだろう。

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