誰？ ページ15
＿＿＿＿＿その日は唐突に訪れた。
「貴方、水無月Aでしょ」
食材の買い出しのため町に来ていた私は、背後から聴こえたその声に進めていた足を止めた。
(……私の名前？)
聴き間違いでなければ、確かに声の主は私の名前を呼んだ。
誰だろう、と思いながら振り返る。
「探したわ、本当に」
そこには、艶やかな黒髪の見知らぬ女性が立っていた。
年齢は私の母ぐらいだろうか。高級そうな着物に身を包んだ彼女は、誰が見ても美人だと答えるであろう容姿をしていた。
しかし、探したとは一体。
「えっと……どちら様でしょう？初対面だと思うんですけど……」
発言からするにこの女性は私のことを探していたようだが、私の記憶に彼女はいない。
率直な疑問を口にすると、女性は何が面白いのかくすくすと笑いだした。
「ふふ、そうよね。覚えていないどころか、そもそも私のことなんて知らないわよね。まだ赤ん坊だったもの」
「……？」
話の意味がわからず、首を傾げる。
女性はそんな私に近付き、急に私を抱きしめると、静かにこう言った。
「会いたかったわ、たった一人の我が娘に」
「……え？」
娘？
初対面でいきなり何を言っているんだ、この人は。
思考が追い付かず、抱きしめられたまま動けず固まる。
女性は構わず続けた。
「私は水無月
耳元でそう告げられた瞬間、停止していた思考回路は急激に働き始め、気付けば私は目の前の女性を突き放していた。
「何変なこと言ってるんですか……？私の母は水無月
軽率に自身の母親だと名乗った女性に対して、僅かに怒りの感情が湧く。
いったい何を考えての発言なのだろうか。急に人の母親を騙るなんて、馬鹿にしているのか。
「ええ、死んだみたいね。風の噂で耳にしたわ、あの甘味処もそのせいで潰れてしまったのだとか」
「っ！！貴方、ほんとなんなんですか…！？」
どこまでも癪に障る彼女の発言に、さすがの私も怒りを抑えきれず彼女を睨みつける。
「A、貴方の発言の誤りを正すわね。貴方の育ての母親は黎かもしれないけれど……」
何故か、この先を聞いてはいけない気がした。
それでも彼女は、妖しく微笑みながら言葉を続けた。
「貴方を産んだのは私よ」
＿＿＿＿＿黎が………私の妹が、貴方を奪ったの。
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よっしー(プロフ) - 一気読みしましたー！ほんと、衝撃です(・・;)続きが気になるー！更新楽しみにしてます！ (2022年12月29日 6時) (
レス) id: 9a6c96b2f0 (このIDを非表示/違反報告)
あ - お願いだから更新してくれ、、ああああああ (2022年10月12日 1時) (レス) @page17 id: e139e91a91 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - Riku__1031さん» お待たせしてしまい申し訳ありません〜！本日更新いたしました！これからも読んでいただけたら嬉しいです！ (2022年8月14日 23時) (レス) id: 543e532459 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - 亜夜音さん» コメントありがとうございます！衝撃を与えられて嬉しいです〜！これからも頑張ります😊 (2022年8月14日 23時) (レス) id: 543e532459 (このIDを非表示/違反報告)
Riku__1031(プロフ) - 更新待ってます〜(;_;) (2022年8月13日 10時) (レス) @page16 id: cd9f4160d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月 | 作成日時：2022年7月4日 19時
