88話 ページ45
あなたside
＿＿＿＿シルクくんと車から降りて、インターホンを押しても、返事が無い。
｢嘘…開かない｣
ドアを開けようとしても、開かない。
中に誰もいないのかな。
シルク｢入れ違いか｣
シルクくんの言葉に焦りが走る。
｢探しに行かなきゃ！｣
私が焦って、走り出そうとすると、待ってとシルクに強く止められた。
シルク｢これで俺らもはぐれたらめんどくせえから、Aだけ行ってきて｣
…そっか。
一旦冷静になって、ふうと息をついた。
｢うん、わかった｣
シルク｢ケータイは？｣
｢家の中｣
シルク｢じゃあ、この近辺回ってすぐに帰ってきて。あと、雨降りそうだから傘｣
シルクくんはそう言いながら、車から傘を取り出して私に握らせた。
＿＿＿＿シルク｢もう、一人になっても泣かないようにしとけよ｣
シルクくんの優しい言葉。
温かい言葉に、私はうん。と頷いて、歩き始めた。
＿＿＿＿しばらく歩くと、雨が強く降り始めた。
｢どこにいるんだろう｣
思わず声が漏れるくらい歩いた。
＿＿＿＿『Aさんと別れる』
ドア越しに聞こえたあの言葉は、きっと空耳であって欲しい。
そう願いながら歩き続けた。
＿＿＿＿すると、一人見慣れた影が見えた。
雨で霞んでよく見えないけれど、確かに、分かった。
｢…マサイくん？｣
傘もささないで、塀にもたれ掛かって俯いてる。
私は慌てて駆け寄る。
｢マサイくん！｣
こんなところに。
ずぶ濡れで、明らかに元気がない。
マサイ｢…Aさん｣
雨でまつ毛が濡れたマサイくんの目が、しっかりと私を捉えた。
私の胸はドキドキと高鳴る。
｢…こんなところにいたの？｣
＿＿＿＿マサイ｢…Aさん、いなかったから｣
私は思わず傘を投げ捨て抱きしめた。
こんなになるまで探さなくたって、良かったでしょう？
もし、別れようなんて言うくらいだったら、こんなになるまで、探さないよね？
そうだよね？マサイくん。
＿＿＿＿私、マサイくんを信じたい。
抱きしめたまま、私は呟く。
｢聞いたんです。私。｣
マサイ｢…｣
｢私と別れるって言ったの、聞いたの。｣
マサイ｢…あれは…違う｣
マサイくんの、震えた声で返事が聞こえた。
マサイ｢あれは…勘違いです｣
｢…知ってるよ。｣
マサイ｢…うん｣
｢知ってたはずなのに、不安だったの。
本当にごめんなさい。｣
私の言葉を聞いたのか、応えるように、マサイくんは私を抱きしめ返した。
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ゆ - だほちゃん結婚してから読むと、ちょっと胸が痛いですw無理にテンションあげとかないと泣いちゃいそ。 (2020年1月26日 22時) (
レス) id: cc16102f38 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 晴留(プロフ) - gray22さん» すみません…最近フィッシャーズ関連見るようになったので、最初の方から見させてもらってます(^o^) 無理はしないでくださいね(￣^￣) これからもドキドキ、そして、感動させてもらいます！(*^◯^*) (2017年1月8日 21時) (レス) id: a897dc61cf (このIDを非表示/違反報告)
gray22(プロフ) - 出雲 晴留さん» 返信遅れました！泣かれたのですか！…嬉しすぎます。そんなに感動して頂けると聞けば、もっと頑張らなくてはと思います。体の心配でもありがとう！頑張ります！ (2017年1月8日 19時) (レス) id: 11b868ed81 (このIDを非表示/違反報告)
gray22(プロフ) - 名無し89569号さん» 細かい分析ありがとうございます！深く読んで頂けてるのですね…感動です。これからも宜しくお願い致します！ (2017年1月8日 19時) (レス) id: 11b868ed81 (このIDを非表示/違反報告)
gray22(プロフ) - senaさん» 返信遅れました！こちらにもコメントありがとうございます！読みやすいようで安心しました。頑張ります！ありがとう！ (2017年1月8日 19時) (レス) id: 11b868ed81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：gray22
| 作成日時：2016年8月24日 18時
