23コール 彼の思惑 ページ25
*
「…電話は終わったかい?」
『はい…』
視線をあげると、鳶色の瞳と目が合った
いつから此方を見ていたのだろうか
思いがけず、少しドギマギした
『あ、あの…』
私が口ごもっていると、彼は全て見透かしたように微笑む
「分かってるよ。何か用があるんだろう?」
『はい…でも、太宰さんは』
「いいよ、私もそろそろ帰るし。付き合ってくれてありがとう」
楽しかったよ、
彼は平然とそう云った
そんな彼に少し申し訳なく思いながらも、私は立ち上がった
『太宰さん』
「ん?」
私は鳶色の瞳をしっかりとみていう
『わ、私も、太宰さんとお話出来て、良かったです!楽しかったです』
これは、偽りのない本心だった
まさか私からこんな事を云われるなんて思っていなかったらしく、太宰さんは驚いたように目を開いた
『その、さようなら!』
ぺこりとお辞儀をして、彼の席を離れ、私は店から出るべく、扉に手をかけた
*
*
彼女が居酒屋を出て行った後も、太宰は暫くの間、その閉められた戸を眺めていた
がやがやと賑やかな店内でも、彼のまわりだけ切り離されたかのように、
静かな空気を帯びているように見えた
「…ふーん」
何かに納得してか、気づいてか。
太宰は全てを理解したように呟く
そして、視点を手元に戻し、コップにまだ残っている酒をじっと見る
「君もなかなかやるじゃあないか______中也」
太宰は一人、笑みを浮かべた
*
2124人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水瀬琥雪 - うぅ…好きです!!こう言う恋も素敵だなぁ… (2022年12月21日 22時) (レス) @page46 id: 27e17eb645 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» そうなんですね。ありがとうございます。 (2022年3月1日 19時) (レス) id: 71a9499b2d (このIDを非表示/違反報告)
六 - もちさん» あ、混乱させてすみません。もう自分が通報したので消えましたが、この葵って人、謝った後「なんて言うとでも思った?wwおばさんww」って返しててあまりに失礼だと思ったので介入しただけです… (2022年2月26日 0時) (レス) id: e32b92c4c5 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» どういう状況すか?よくわからないんですけど。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: 5b4b0a933b (このIDを非表示/違反報告)
六 - 名無しさん» 名無し、お前は間違ってないぞ。評価1000評越えが羨ましいキッズが妬んでアンチコメしたらばっちり言い返されてキレてるだけだからwこういう奴は相手する価値ない。無視しようぜ。 (2022年2月8日 1時) (レス) id: 7b7a62c26c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ