線引きをされるのは ページ23
▽アルフォンスside
「……アルたちに迷惑かけたくないや。」
そう言って歪に微笑むAを見つめる。Aは常に寂しそうにしてる。だから気にかけて声をかけていた。なのにこうやって線引きされる。でもAは気が付いてないんだ。
(そう言われることが、ボクにとっては嫌なのことなのに…)
Aが嫌がる"迷惑"だとは思ってないのに。兄さんだって、心配してるのは分かる。態度は悪いけどね。
「……アル？」
黙るボクにAが声をかけてきた。視線を窓へと向けていたAがボクの方を見ていてさらり、と結ばれた黒髪が揺れるのが見えた。
「……ねぇ、A。ボクは迷惑だなんて思ってないよ。」
伝わるかな。伝わるといいな。
「……。」
「どうしてそんな悲しいこと、言うの？」
どうして線引きしてくるの？
「……っ………私は……」
そう言ってから黙ってしまう。中尉がAを気にかけて、溺愛してしまうのも分かる気がする。この子は…この子は"1人"を好む。でも、寂しいとかそういう本音を隠して隠して、我慢してるのが分かる。この子が不器用だからじゃない。寧ろ器用なのだと思う。けれど分かってしまうほどに溜めているのだ。本音をずっと溜め込んでしまって溢れそうになっているのだ。
「…会ったばかりだけど…ボクたちが…ボクが信用出来ないかな？」
「…。」
「ボク…こんな形してるから…怪しい、かな…」
俯いて自分の姿を見る。この姿になって随分と経った。今じゃ他の人の反応にもなれたけど。鎧姿の僕に何も聞いてこないAに疑問も抱いていた。
「……………アルは…」
Aのか細い声が聞こえて顔をあげれば、Aはボクを見ていた。真っ直ぐと、黒い瞳をこちらに向けて。
「…アルは、優しい人だよ。」
「…え？」
真っ直ぐにボクを見て、ハッキリとそう言った。
「…見ず知らずの私を助けてくれて、優しくしてくれるんだもの。素敵な人よ。」
大丈夫よ、怖くないよ。
そう言ってくれるA。
あぁ、なんてことだろう。
この子の方がずっと、ずっと優しいじゃないか。
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作者名：もっくん | 作成日時：2017年4月1日 2時
