７３ ページ34
「…A。」
白ひげがAを呼ぶがAは構わずに話し続ける。
「…ねえさまが、ここはいせかいだとおっしゃった。
わたしがうまれたくには、ここにはないのだと、おっしゃった。
このちからは、このせかいにはわたしだけだから、つかわないように、といわれていた…
でも、でも。
…わたしは、ねえさまがおなくなりになったときにねえさまのたましいを、もとのせかいにかえしたのです…
せめて、とうさまとかあさまのもとにかえしたかったから…わたしをずっと、まもってくれていたねえさまだけでもかえそうとおもった。」
小さな手で、着ている服を掴んで耐えるように話し続けるA。白ひげやイゾウは悲しげに、Aの言うことを聞いている。
「…このまえも、とうさまをたすけたかった。
しきが、とうさまのちかくにいた。
しきはひとのしをつれてくもの。
とうさまを、つれていこうとしてた。
たすけたい、とおもった。
しなないでほしかった。」
「……それは、Aにしか、見えないのかい？」
イゾウの問いにAは首を横に振って
「…ちからのあるものは、みえるよ。」
イゾウの方を見た。
「………でも、あのとき、いぞうもみえてたはずだよ。くろいすがたのしきが。」
「…黒い靄のような感じにオレには見えたが…」
「オレァ黒い人みてぇなやつに見えたな。」
「人の姿には見えなかったが…」
「…とうさまはきっとそのしきにねらわれてたからはっきりみえたんだとおもう。
つよいちからをもつものなら、たたびと…ちからのないものでもみえてしまうの。」
「…見える見えないってまるで幽霊みたいな…」
イゾウのその言葉にAは力なく微笑んだ。
「…そう。
なにもしらないひとたちのいう、"ゆうれい"といわれるひとのたましいや、
しきのような"おに"や"あやかし"がみえて、
それらをはらうのが、あべけ。
あべけのなりわいは、
おんみょうじ。」
(幼子のひみつ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 838人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗葉 - 少年陰陽師を私は知らないんですけど、それでもとても面白かったです！続きも楽しみにしてます！ (5月30日 17時) (
レス) @page40 id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
もっくん(プロフ) - 質問以外、コメントを返すことはしないと思いますが、励みにはなっておりますので感想聞かせて頂けると幸いです◎ (2023年4月24日 2時) (レス) id: 55d108408f (このIDを非表示/違反報告)
もっくん(プロフ) - いつのまにか沢山のコメントありがとうございます。何となく、ふと戻って来てきみてこんなにも沢山の人に読んで頂けて嬉しいです。これからも亀よりも遅いし、気ままに更新していこうかなと思っております。 (2023年4月24日 1時) (レス) id: 55d108408f (このIDを非表示/違反報告)
リラン(プロフ) - たまらなく嬉しいコラボ作品です！続き楽しみにしてます！ (2022年12月23日 0時) (レス) @page42 id: f068be0892 (このIDを非表示/違反報告)
こぐま☆にゃんこ(プロフ) - このお話しを見つけてから、一気に無我夢中で読んでしまうほど、面白いお話しです！！読めば読むほど主人公にも、イゾウさんにも、オヤジさんにも、白ひげ海賊団共々幸せになってもらいたいと思いました！これからの続きも楽しみにしております！！ (2022年9月16日 10時) (レス) @page42 id: 1141f035c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もっくん | 作成日時：2017年6月17日 12時
