24、カビと泥と銃弾と ページ25
どろどろとした白い液体が一つにまとまって、二メートルはあると思われる巨大な人の上半身のような形になる。
顔は他の異形と同様に口が裂けているが、同時に他の異形とは違って橙色に発光する目のようなものがあった。
「一体人間にどんなことをしたらこんな風に進化すんだか…。」
「…Gウィルスは摂取した人間を状況に応じて進化させる…。…ウィルスと一緒に泥とカビを摂取させたんj…」
会話を遮って、異形が攻撃を仕掛けてきた。
腕に当たる部分をさながら泥のような液体に変化させて伸ばしてくる。
二人が左右に避け、なにもない場所に突っ込んだ異形の腕が倉庫の壁を吹き飛ばす。
間髪入れずにコトが銃弾を異形に連射し、ハザマが落ちていた鉄パイプで異形を殴りつける。
だが異形の頭部に向かって放たれた銃弾はまるで泥に向かって発砲したかのように異形をすり抜け、体を狙ったハザマの鉄パイプも似たようにからぶったのだった。
その間にも異形はどろどろした腕を鞭のように振り回し、あらゆる場所を破壊していく。
「攻撃通らねぇぞ!?なんか泥相手に攻撃してるみたいな手触りだ!」
まさに『糠に釘』。体が泥とカビで出来ているためか、どこをどう攻撃してもダメージを与える事ができないのだ。
「…これがオカルト的な霊力で動いていない『生物』なら、どこかに生体機能を保っている場所…心臓があるはず…!」
「おいおい、心臓だけ攻撃が通るとかそういう系か!?だったらどうやってその心臓の位置を割り出す!」
先ほどから二人は異形の体の至るところを攻撃し続けているが、心臓らしき物は見つけられていない。
だがこの異形が生物である以上、生命維持を行うために心臓は欠かせない臓器となる。
それが見つけられないと言うことは、この生物が心臓の位置を移動させている事を意味している。
この攻撃をかわしながら、無駄に消耗する前にそれを割り出す必要性がある。
「…体の泥さえ流れ落ちてくれれば…!」
「流れ落ちる…?」
その時、ハザマが何か閃いた。
異形の攻撃をかわして、倉庫にあった手動式の汲み取りポンプを掴む。
「コト!少し時間を稼いでくれ!」
「…了解!」
コトが姿を消して銃弾をばらまき、異形を引き付ける。
その間にハザマは外に飛出し、隣接する池にホースを投げ込んでポンプに手をかけた。
そのホースのもう片方先は、ピッタリ倉庫内で暴れる異形に向けられていた。
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地獄狼(プロフ) - 白い雪さん» コメントありがとうございます!これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いします! (2018年11月24日 17時) (レス) id: 9982f25173 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪(プロフ) - 何時も楽しく見てます( ˘ω˘ ) (2018年11月24日 17時) (レス) id: 91ed43297b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:地獄狼 | 作成日時:2018年1月4日 23時