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13、新型 ページ14

『◯◯近郊の山で人体の一部を発見。その数、人間3体分。見つかったのは喉を含めた臓器全てで極めて猟奇的である。警察は臓器と人体を持ち去った犯人が臓器だけを落としたと考え、他にも被害がでていることを視野に捜査を進めている。』

約数年前に発行された新聞記事を読み返して俺はため息をついた。結局この事件も、これ以外に人体が見つからず、犯人もわからないまま捜査は打ちきりになっていたはずだ。

こんな数年前に発行された新聞をわざわざ持ち出してきたのは、昨日の酒場にいたリアの反応が気になったからであった。あいつは知らないことが多い成か、物事によほどのことがないと食いつかない。だが、酒場で写真を見たときのあの食い付きは異常だと思う。やはり本人に知ってることを全てはいてもらおう。そう考えて俺はリアがいつもいるであろう場所にコトと向かった。




外は絶好の快晴。ジャルドーレ通りはいつもどうりの賑わいを見せていた。

「そう言えばコト。この前、観音兵と戦ったとき、どんな感じだった?」

何気なく手がかりになると思い、コトにきいてみた。

「…早かった。でも知能はそこまでないみたい。恐らく簡単な命令、つまり無差別に人を襲うように作られてる。目的を設定して、それをこなすだけの知識量は身につけていない。…それにーーー」

そこまで言いかけた、その時だった。広場の法で、悲鳴があがった。同時にこれまで感じなかった死臭や肉の腐った臭いまで。俺はタバコに火をつけ、大急ぎで広場を目指した。



広場は騒然としていた。蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う人でごった返す広場の中心には、一匹の異形が立っていた。

観音兵とは明らかに姿が違う。3メートル程の巨体。白っぽくぶよぶよしている体。目と耳の無い角。耳のある辺りまで裂けた口に並ぶ鋭い歯。大剣のような形状に変化した巨大な右腕と盾のように平べったく変化した巨大な左腕。その背中にはセビレのようなものがあり、その体は…喉が縦に裂け、そのまま皮と内蔵を剥がしたように腹までぽっかりと穴が空いていた。 その姿は、数年前の事件の死体と酷似していた。

「…新型か。数年前の事件の死体はこの実験にも使われていたのか?…殺れるか、コト?」

「…問題ない」

そう言ってコトはベイオウルフを引き抜く。俺も拳を構え、異形にむかっていった。

14、生きる屍→←12、神を作る



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地獄狼(プロフ) - 白い雪さん» コメントありがとうございます!これからも頑張って更新していきますので、よろしくお願いします! (2018年11月24日 17時) (レス) id: 9982f25173 (このIDを非表示/違反報告)
白い雪(プロフ) - 何時も楽しく見てます( ˘ω˘ ) (2018年11月24日 17時) (レス) id: 91ed43297b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:地獄狼 | 作成日時:2018年1月4日 23時

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