はたち あまり ひとつ ページ22
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黒髪の、跳ねたくせっ毛をした男の子の首を、“私”が押さえつけて絞めている。
そう、
ギリギリと音が鳴りそうなくらい、力強く、殺意をもって。
跨って体重をかける“私”の下で、男の子はじたばたと苦しそうにもがき、暴れている。
一瞬ちらりと見えたその顔は、私がついこの間、見たばっかりの顔で──
「──京也」
ばしゃん、と音が鳴った。
は、と呼吸を再開し、そこで初めて、自分が無意識に息を止めていたことに気づく。
ふと目の前に意識を戻すと、もうそこに先程までの光景は映っていなかった。
この夢は、何。
どうして私は、京也の首を絞めていたの。
私は、京也のことを憎んでいるの──?
「……違う」
違う。
私はそんなことしない。
だって私は、“良い子”だもの。
腹違いの弟も、私を忘れた父親も、みんなみんな愛してあげるの。
だって、そうしないと──お母さんに怒られてしまう。
約束したんだもの。 お母さんと。
何があっても、お父さんを嫌いにならないって──。
『──嘘つき』
途端、背後から聞こえた声に、身体が硬直する。
『本当は“京也さえ居なければ”って思ってるくせに』
冷ややかな、どこか違和感のある、良く知った声が私に喋りかける。
『どうしてそんな嘘つくの?』
ぎこちない動作で、ゆっくり振り返る。
そこには、いつになく表情の消えた“わたし”が、いた。
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編集前とはだいぶ違うテイストになっております。
以前の方が良かった!って方はすみません><;
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麗夢 - 前見た時本当に感動してまた読みに来ました。私が知っている夢小説の中で1番大好きな作品です! (3月1日 23時) (レス) @page44 id: 6ebe956d7c (このIDを非表示/違反報告)
にっこり(プロフ) - 感動したやっぱりお父さんって大事だなぁ後光輝君もいいな! (2021年8月25日 7時) (レス) id: ec120adb39 (このIDを非表示/違反報告)
藍琉(プロフ) - とても感動しました!!!!泣きながら読んでました!この作品に出会えて良かったです!ありがとうございました!!!! (2020年6月11日 0時) (レス) id: e2f068ce6d (このIDを非表示/違反報告)
芥川とミルクティ - 何度見ても泣きます。もう最後なんか、嗚咽が止まりません。本当に感動する素晴らしい作品です。作者様のとても美しい文章に惹き付けられます。 (2020年3月14日 20時) (レス) id: 9ec8afc8ac (このIDを非表示/違反報告)
哀駒(プロフ) - 完結おめでとうございます^^もう泣きすぎて明日目腫れそうです…w (2020年3月10日 22時) (レス) id: 677b3c59a5 (このIDを非表示/違反報告)
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