23 ページ23
.
バイトにも、学校にも慣れて、なんとなく空いた時間や昼休み、放課後の時間は５人で過ごす流れが出来ていた。５人とは、言うまでもなく風磨に健人くん、アキちゃん、そして聡くんとわたし。
健人くんとの関係は、相変わらずふわふわしたままでどこか一線を引かれているような気もした。
「A、この後王子と待ち合わせてるんだっけ？」
学校終わり、帰る準備をしながらアキちゃんに聞かれてうん！と元気いっぱいに頷く。アキちゃんは健人くんのことを、王子と呼んでいて、そう呼ばれる度に健人くんが「王子はやめてよ」とはにかんだように笑う瞬間がたまらなく好きだから、わたしは密かにアキちゃんには、王子と呼び続けて欲しいと思っている。
「菊池先輩は？今日バイト？」
「いや、俺は休みー」
木曜日の６限は風磨とアキちゃんとわたし、同じ講義を取っているから必然的に一緒に受ける。健人くんは午後は講義が無いため、会えない。
たまたまシフトが被っていた今日、健人くんが甘いもの好きと知って、バイトまでの時間、駅前のタルト専門店のお店に勇気を出してダメ元で誘ってみたらなんとOKをもらえたのだ。れっきとしたデートですよね！これは！
Kento終わった?駅前にいるから着いたら連絡してね。ゆっくりでいいから気をつけておいで
スマホを開くと健人くんからラインが来ていて、返事を返すよりも先に慌てて荷物をまとめる。
「風磨、アキちゃん！わたし先行くね！」
「は？同じ方向なんだから別に一緒に行きゃいいだろ」
「ダメ！健人くんもういるんだもん、わたし走っていくの！２人ともまた明日！」
「なんでもいいけどこけんなよ」
「大丈夫ー！！」
そう返事をして学校を飛び出してわたしは駅前までダッシュする。学校がある駅とMinetteの駅は同じで、駅を挟んで反対側に位置したところにMinetteと風磨の住む家があるのだ。
駅前について広場の辺りをきょろきょろと健人くんの姿を探し回ってみるも、見当たらない。ラインしてみよう、とカバンからスマホを取り出すと、「A？」と背後から名前を呼ぶ声がした。
「雄也…」
そこには、２ヶ月ほど前『お前って面倒くさいから疲れるんだよね』と言い放ってわたしを振った彼の姿があった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして！嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます！これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します！ (2019年5月3日 19時) (
レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください！ (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みゆ | 作成日時：2019年4月9日 22時
