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「伊野尾くん、Aちゃんに甘くね?」
「そりゃ可愛い子には優しくしちゃうっしょ〜。菊池ー、カフェオレひとつー」
「まあ、気持ちはわかるけど」
伊野尾さんがキッチンへ向かって声をかけると、呆れ顔の風磨がため息をつきながらのそのそと出てくる。
ていうか!今さらっと健人くん気持ちはわかるけど、って言った?つまり…可愛い、って思ってくれてるってこと?!いやいやそんなの社交辞令に決まっている…
そんな葛藤を頭の中で繰り返していたら、ねえねえ、と健人くんが小声で、私の耳元へ顔を寄せてきた。
香水、ってほどキツくないけれどふわり、と甘い香りが鼻をかすめて心拍数は一気に上昇する。
「 菊池、俺がAちゃんのこと独り占めしてるから不機嫌なのかな」
「そ、それは絶対無いです!本当にっ!風磨は本当にお兄ちゃんというかなんというか!」
「俺はお前のこと妹だなんて思ったことねえけど?」
カタン、とカフェオレのお代わりを持ってきた風磨が相変わらずムスッとした表情でわたしを見下ろす。
「お?!ということはやはり…?」
「?!ちょ、風磨何言ってんの?!変なこと言うのやめてよ!」
「ペット。」
「…はい?」
「俺の可愛い飼い犬みたいなもんかな。あ、でも全然言うこと聞かねーから可愛くはねえか」
「………」
「っはは!菊池のペット?ウケる、てかちょっと待って、それはそれでなんか意味深っていうか、えろくね?」
「ペット、って…いい響きだよね…俺もAちゃんのこと飼いたいな…」
「伊野尾くんが言うとすげえ犯罪臭するからやめてもらっていい?」
いやペットって!!!意味わからない!!
変な意味で捉えられたらどーすんのよ!むうう、と風磨を睨んだら、お返しだ、と言わんばかりのしたり顔の風磨。
だけど、その隣で伊野尾さんと笑いあっている健人くんを見たら、キュン、と胸が高鳴って、ここへ連れて来て(正確には無理やりついっていった、だけど)健人くんと出会わせてくれた事にも、励ましてくれた事も、やっぱり風磨には助けられてばかりだ。
風磨が作ってくれたのであろうカフェラテには、私の好きな猫のキャラクターのラテアートが施されていた。
なかなか恥ずかしくって、面と向かっては言えないけど、ありがとう、って思ってるよ。
カフェラテを一口飲んだら、一杯目よりずっと美味しくて、温かかった。
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みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時