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「うぐっ、おま、ふざけんな首締まるだろうが!」
「…あれ、菊池じゃん。おはよ」
どうやらお客さん、では無かったらしい。
風磨の友達かなあなんて、風磨の名前を呼ぶその声に振り向いてご挨拶をしようとした、のに。
「………」
まるで、時が、止まったみたいだった。
するり、と私の手から持っていたストールがスローモーションのように揺れ落ちる。
「もしかして菊池の彼女?落ちたよ、これ」
目の前の彼が屈んでそれを拾うと、長めの前髪が高い鼻筋にかかる。
白いワイシャツにスラリと伸びた足、腰には茶色のエプロンを巻いたその彼が私のストールを手にして、にこりと微笑んだ。
まるで、少女漫画に出てくるみたいに整った顔立ち。王子様って、こういう人のことを言うんだと思う。
「………」
「ん?あ、これもしかして菊池の?」
「いや、コイツのだけど…おい、A!聞いてんのか!」
「………」
ああ、私、今度こそは、本当に本当に出会えたかもしれない。
「ふはっ、固まっちゃってるね。つーか菊池って彼女居たんだ」
「いやコイツは彼女じゃ、」
「違います…」
「え?」
「風磨の…彼女じゃありません!わ、私は!AAって言います大学1年生で風磨とはただの幼なじみで彼氏は居なくてっ、は…!あの!あなたのお名前教えてください!」
「お、俺?中島健人、だけど…」
なかじまけんと、なかじまくん、けんとくん。名前を聞いて何度も心の中でリピートする。
ついさっきまで、彼氏なんてしばらくいいや、なんて思っていた、のに。それなのに。
「風磨、わたし…出会えた…」
中島健人くん、あなたのこと、好きになってもいいですか。
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みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時