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「ふう、ま…?」
だんだんと風磨の体から力が抜けていくような、そんな感じがして私は前を向いて風磨の額に手を当てる。
「あっつ!すごい熱!」
ぐったりとする風磨をなんとか寝室のベッドまで引きずって首まで布団を被せる。おまけにさっき買って来た冷えピタも額に貼ってあげた。
ふう、と一息ついて洗濯でも回してあげようかなと立ち上がろうとした時、ぐんっ!と勢いよく腕を引っ張られてベッドの中に引きずり込まれた。
「…?!」
「どこいくんだよ」
「せ、洗濯回そうとおもっただけだよ!」
「だめ」
ぎゅっ、と布団の中で風磨に強く抱きしめられて身動きが取れない。本当に今日の風磨、どうしちゃったの?!熱出ておかしくなりすぎだよ!
「ねえどうしたの、今日」
「こっち向けよ」
鼻と鼻がくっつきそうなくらい近くに風磨の顔があって、少し潤んだ瞳がまっすぐに私を捉える。
小さな頃から見慣れた風磨の顔、こんなに近くでまじまじと見たのなんて初めてかも。少し変な気分になって思わず目を逸らす。
「何?照れてんの?」
笑いながら風磨が私の頬を撫でる。なに、この甘い雰囲気。どうしよう、どうすればいいの。風磨?って名前を呼んだら「どうした?」と優しい声が返ってくる。やっぱり、今日の風磨は変。
「なんで、昨日…」
そう私が口を開いた時、リビングから聞こえたスマホの着信音。多分、相手は健人くんだ。ベッドから起き上がって電話に出ようとしたのに、風磨が離してくれなくて動けない。
「ねえ離して?」
「中島だろ?電話」
「た、ぶん…」
「付き合うの?アイツと」
「……付き合ったら、もう風磨とは仲良くしちゃだめなの?」
私の言葉に風磨が、ふっ、と笑って目を細めて静かに笑う。着信音はいつのまにか鳴り止んでいた。
「じゃあ、ダメって言ったらお前は中島と付き合わないの?」
切なそうに、困ったような表情の風磨が目にかかった私の前髪を耳にかけながらそんなことを言う。
「風磨に、会えないのは…さみしいよ」
「…質問の答えになってない。お前が好きなのは誰?中島?」
「……」
「中島って言わないと、キスする」
私が好きなのは、健人くん。そうだよ、そうだけど。それなのに言えない。どうしてそんな悲しそうな顔するの?もしかしなくても、風磨は、私のこと、好きでいてくれてたの…?
「時間切れ」
次の瞬間、唇に熱が伝わる。薄暗い寝室の中、ゆっくりと唇を離した風磨が小さく「ごめん」と呟いた。
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みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時