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中島がAのことを弄ぼうが二股かけようが、俺にとってはどうでもいいことだ。
それによってAが悲しんだり、嫌な思いをしていたとしても中島に文句を言う気は無いし、俺が出来るのはAの隣に居ることだけ。
ただ、それだけ。
「ふーま…」
「ねみいんだろ?寝ろって」
「ん、」
あれから、Aは俺の部屋へ来て2人で出店で買ってきた物を広げて、冷蔵庫に入っていたお酒を少しだけ飲んだ。少しだけなのに案の定いい感じに酔ってしまったAはソファーにだらけて今にも眠ってしまいそうだった。
「布団敷いといたから、あっち」
「うん……ねー、」
「は?何?運べと?」
甘えるように両手を伸ばすA、可愛いなんて思ってしまう自分の甘さが悔しい。本当ならベッドを貸してやって俺が布団でもいいわけだけど、なんせAは寝相が悪い。ベッドの下に布団を敷いて俺が寝て居た時、朝方ベッドからAが俺の上に転がってきた事件があってから、Aは布団で寝かせると決めた。
「お姫様抱っこして〜」
「そういうのは俺じゃなくて、…まあいいわ、今日だけな」
「わ!」
中島に言え、と続けようとしたけれど中島の名前は禁句だったか、と内心焦ってAの表情を伺いながらAを持ち上げる。どうやら酔っていて特に気にしていなさそうでホッとした。
そっとAをベッドに下ろすと、ブランケットをかぶって「今日はここで寝ようっと!」なんて言い出した。
「いやお前寝相悪いから布団にしてマジで」
「なんでー」
「落っこちてくんだろーが!」
「それなら風磨もベッドで寝ればー?」
「は、オイ、」
ぐいっと腕を引っ張られて、俺はAの上に覆い被さるような状態になる。幼なじみつっても、俺も男なんだけどなー、なんて思いながらAを見つめる。
「なに、襲ってほしいの?」
「風磨はそんなこと、しな…い…よ」
だんだんと途切れるように小さくなっていくAの声。あ、コイツ寝たな、と思った時には目を閉じてスースーと寝息を立てていた。
はあ、とため息を立ててそのままAの隣に寝転んでそっとAの頭を撫でる。コイツと居るとこんな事は日常茶飯事だ。ここまでされても手出さない俺ってマジですごくない?自分で自分を尊敬する。
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みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時