32 ページ32
「カキ氷だろー、たこ焼きだろー、あとは?」
「……風磨、」
「金魚すくいとか?あ、でも去年取ってやったのにお前1ヶ月もしないうちに死なせたよなあの金魚」
「ねえっ、」
「…何?」
私が泣いていることを察知したかのように風磨は迎えに来て、それから強引に私の手を取って出店を巡って私が好きな物ばかりたくさん買った。
健人くんと一緒じゃない理由とか、泣いている理由とか、何にも聞かずに、ただただ風磨は手を繋いで歩き回るだけだった。
「なんで、わかったの?」
「何が」
「私があそこにいたこと…」
「俺様レベルになるとわかんねーことなんてないのー」
「…健人くんから、連絡が来たの?」
「中島?きてねえよ」
「そっか…」
「どうする、この後。多分松島達まだどっかしらいるよ」
今は、2人の顔を見たらまだ泣いちゃいそうだな。きゅっ、と繋いでいた風磨の手を握り締めると「帰りたいってことでいいのな」と歩き始める。
どうして、言わなくてもこんなに伝わるんだろう。やっぱり風磨って、すごい。
「どうして風磨ってわたしのことなんでもわかるの?」
「お前は俺のことなんもわかってねーもんな」
「なっ、そんな事ないもん」
「はいはい」
「わたし、風磨みたいな人好きになれば幸せになれるのかな…」
「…俺みたいな、じゃなくて」
「…?」
「俺でいいんじゃね」
突然、立ち止まった風磨がまっすぐな目で私を見てそんなことを言うから動けなくなる。
「どういう意味、」
「そのまんまの意味だけど」
「………」
「ぷっ」
「?!」
「っはは!なに間に受けてんだよバカ!」
「ひ、ひどい!からかうなんて!」
やっぱお前って本当バカ、って笑いながらまた歩き出す風磨の肩を後ろからグーパンチしてやろうと思ったのにガッとその手を風磨に掴まれてしまった。
「お前の考えてることは全部お見通しなの」
そのままぎゅっ、とまた繋がれた手はあったかくて私はまた、少し泣きそうになった。
「風磨、」
「ん?」
「ありがと…」
私が小さく言ったその言葉に風磨は優しく笑って、帰んぞ、とぎゅっと手を強く握った。
188人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時