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「ごめんね、待たせちゃったかな?」
振り向いたら紺の浴衣に身を包む健人くん。どうしよう、カッコ良すぎて直視することが出来ない。
「っ、全然!今来たところです!」
「ならよかった。浴衣、可愛いね。髪も…似合ってる。」
ア「私がセットしてあげたんだから、当たり前!」
健「市川さんが?すごいね。2人ともよく似合ってる」
ア「私のことは良いんで、ほら、行ってらっしゃーい!」
アキちゃんに背中を押されて、トン、と健人くんの手に触れた私の手。ドキドキして、この熱が健人くんに伝わってしまわないか不安になる。
健「じゃ、行こっか」
振り向いて、2人に手を振ったら「がんばれ」と2人が笑っていて私も大きく頷いた。
「花火までまだ少し時間あるしなんか食べる?」
「食べたいです!」
「何食べたい?俺買ってくるよ」
健人くんと2人で出店のほうへ歩いて行くと、辺りは想像以上にたくさんの人でごった返していた。少し目を離したらはぐれてしまいそうで、歩いて行く健人くんの後ろを必死について行く。
「どれもすごい並んでますね…私が買ってきますよ」
「なんでよ、女の子にそんなことさせられないし」
「どれがいい?」と健人くんに聞かれて辺りを見回して、比較的列の空いてそうな屋台を探す。本当は、わたあめもりんご飴も、タコ焼きも、カキ氷も食べたいけれど食い意地張ってる姿なんて見せられないからそこは我慢。
「あ!チョコバナナがいいです!」
「いいね、俺バナナめっちゃ好きなの!」
バナナ、好きなんだ。健人くんの新しいことを1つ知るたびに、すごく嬉しくなる。
「じゃあわたし、花火よく見えそうなとこ場所取っておきますね!」
「んー、でも1人にするの心配になってきた。一緒に並ぼうか」
結局、健人くんと私はチョコバナナを一緒に買って、なかなか花火がよく見えそうな場所を取ることができた。
座って、花火が打ち上がるまで2人でチョコバナナを頬張る。健人くんが、「うまっ!」ってあまりにも大きな声で言うから、それが可笑しくて、可愛くて、思わず笑った。
「喉乾いちゃったね。俺飲み物買ってくるよ。まだ花火まで時間あるよね?」
「はい、あと15分くらいです!」
「オッケー、すぐ戻るね」
ありがとうございます、とお礼をして、健人くんが小走りで先ほどの屋台の人混みの中へ消えてく背中を見送った。
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みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時