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お決まりの光景だった。
恋が終わる度に、風磨の部屋へ押しかけては気がすむまで泣いて、次の日には必ず、わたしの大好きな甘い物を風磨が用意してくれて、美味しいね、って笑うの。
もちろん、昨日もそんなお約束のパターンだった。
リビングで風磨が買ってきてくれたシュークリームを頬張りながらテレビを見ていたら、シャワーを浴びて洗面所から出てきた風磨が何やら出かける準備を始めているようだった。
「どっか行くの?」
「ん、今日バイト」
「えっ!バイト始めたの?!聞いてないんだけど!」
「昨日話そうと思ったけど、誰かさんがずっと泣いてっからタイミング見失ったんすよー」
「う、ごめん」
「2年になったし時間に余裕も出てくるし始めようと思って」
鏡の前で髪の毛にワックスを付ける風磨の後ろ姿を眺めながら、いいなあ、と呟く。
その言葉に風磨が、何がだよ、と肩を揺らして笑う。
だって、バイト先って出会いとかたくさんありそうじゃん、と思ったけれど昨日振られて散々泣いた後だったことを思い出してそれは心の中にしまった。
私だって、好きでこんなに男を取っ替え引っ替えしてるわけではない。
昔から好きになったら一直線で、恋をすると他のことが手につかなくなるくらい夢中になって、振られる理由は決まって「重い」とか「面倒くさい」とか。
いつだって、自分の「好き」が強くて飽きられて終わり。
その度に、幼なじみの風磨に泣きついてはまた恋をして、の繰り返し。
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みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時