14 ページ14
.
「おい、お世辞を間に受けんなって」
「う、るさいなぁ!」
「あ、中島俺ちょっとシャワー浴びてきちゃうからメシ食って待っててくんねー?」
腕やら首やらに付けたアクセサリーを外しながら風磨がとんでもない事を言い放った。いやいやいやちょっと待って、私と健人くんを置いて風呂入る気?
「ああ、まあいいけど」
よろしくー、なんて言いながら風磨は呑気に鼻歌なんて歌いながら洗面所のほうへ。リビングに取り残された私と健人くんの間には微妙な空気が流れる。
と言っても私が意識し過ぎなだけで、健人くんは気まずいともなんとも思ってなさそう。
「これ、頂こっかな。Aちゃんが作ったんだもんね」
「作りました!けど、本当にそんなものですみません…」
「いやいや、そもそも俺のためじゃなくて菊地のために作ったのにごめんね」
「そんな!でも健人くんが来るってわかってたらもっとちゃんとしたもの作ってたのに…」
「ふふっ、そんな事言わないの。じゃあ、いただきます」
好きな人に、自分の作った物を食べさせる瞬間という物はどうしてこんなにドキドキするんだろう。恐る恐る健人くんの次の言葉を待つ。
「えっ、超うまいんですけど」
「本当ですか?!よかった!」
「料理上手なんだね。よく泊まり来るの?」
「よく、って程じゃないですけどたまに…!」
「そっか。なんかそういうのすごいよねー」
「すごい…?」
「あ、いやさ、いくら幼なじみでもAちゃんは女の子だし、菊池だって男なワケじゃん?菊池もよく我慢できるな、って」
「我慢って!風磨は本当に私のことそういう目では見てないんです!」
「まあ、確かに、だからこそAちゃんもこうして気軽に来れるんだろうしねー…あ、Aちゃん、ちょっと目瞑って」
「え?!目ですか?」
「まつ毛、ついてる」
ちょっといい?と近付いてきた健人くんの前で目を瞑っていたら、ぐいっ、と首の後ろに手を入れられて引き寄せられる体。「ひえぇ?!」と何が起きたか分からなくて、なんとも可愛くない声を発してしまった。
「俺だったら、我慢できないけどね」
驚いて目を開けたら、耳元で健人くんにそんな事をささやかれて身体中の血が沸騰しそうなくらい熱くなった。
「け、け、けんと、くん」
「あはっ、だから、菊池以外の前でそんなスキ見せたらダメだよってこと。驚かせてごめんね?」
私の好きな人は、優しいだけじゃなくて少し意地悪で小悪魔かもしれません。
188人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゆ(プロフ) - ぷぅ∞さん» ぷぅさん初めまして!嬉しいお言葉ほんとにありがとうございます!これからも切なく甘くを目指して完結頑張るので応援おねがい致します! (2019年5月3日 19時) (レス) id: c270fe5c87 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ∞(プロフ) - 初めまして。いつも更新を楽しみにしています。風磨くんの切ない恋にきゅんきゅんしています。更新頑張ってください! (2019年4月30日 18時) (レス) id: 0b53292451 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みゆ | 作成日時:2019年4月9日 22時