赤い宝石Ⅱ〈×ym〉 (ページ5)

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スマホ arym ページ5

｢ねぇ大ちゃん！！大ちゃん！！｣

興奮したような声で俺の名前を呼びながらドタドタと慌ただしく山田がリビングに入ってくる。

｢おわっ、ビッショビショじゃねぇか！ちゃんと乾かせよ。てか、服もちゃんと着ろよな。いつも言ってんだろ｣

パンイチでビショビショの山田の肩にかかっているタオルを取りガシガシと濡れた髪を拭いてあげる。

｢んなことどうでもいいんだよ！それよりこれ！｣

｢スマホ？｣

｢すっげぇんだよ今のスマホ！俺さっき浴槽でコケちゃったのね。それでスマホ落としちゃったんだけどほら！見て！なんも壊れてないの！凄くない！？水没したんだよ！？なのに凄くない！？｣

水滴がついたスマホを俺の顔の前へグイッと見せてきては、俺が髪をガシガシと拭き続けるのをお構い無しに、されるがまま状態で饒舌にスマホの凄さを語り出す。

ちょっとは感謝しろよな。
なんて、心では思ってるけど、一生懸命俺に伝えようとしてくるのが愛しい。

｢ふふ、そうだな！すげぇな！｣

｢だろぉ！！｣

｢うし、おっけー｣

｢あんがと｣

ある程度水気を拭き取りタオルを渡す。

その後も山田は、スマホを見つめながらすげぇすげぇと感動していた。この様子をApple創業者が見たら喜ぶだろうな。

｢やまだ〜、、もう寝てんのか｣

寝室に行けば既にすやすやと寝息を立てている山田が。

山田の隣に寝転んだがまだ眠たくもないためTwitterを開き適当に見ていればあるツイートに目を留める。

｢ふっ、Webにも上げてるじゃん｣

よっぽど感動したのか俺に話したような文面でファンの皆に報告している。それが可愛くて、隣で眠っている山田のスベスベな頬を優しく撫でればスリスリと俺の手に擦り寄ってくる。

ほんと、可愛い。

眠っている山田の頬にキスをして眠りにつく。

山田の顔が林檎のように真っ赤になっていることに気づかずに。

end

オチもクソもないです。ただの日常です。こうであれ。

あのWebを見た時にパパって書いてずっとメモで静かに眠ってました。ずっと眠ってるのも可哀想なので供養しときます。