赤い宝石Ⅱ〈×ym〉 (ページ22)

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「ねぇごめんって」

『涼介ひどいよ。俺らほんとにビックリしたんだから』

「だって、会話聞こえちゃったんだもん。そんなに怒ること？」

「ほんとに心臓に悪い｣

「だから、ごめんってば」

さっきのは幻覚だった。らしい。

衝撃により疲弊している僕とゆうてぃに涼介が面倒くさそうに謝ってくる。

「そもそも猫の鳴き真似しただけでなんでそんなビックリするんだよ」

『だって、涼介の頭に、』

「俺の頭？」

顔をキョトンとさせながらぺたぺたと触り確認している頭にはさっきまであったはずの猫耳はない。

『猫耳があったんだよ！！！』

「意味わかんねぇしうるせぇ」

『ねぇ知念！そうだよね！！』

「うん」

「はぁ？疲れてるんじゃない…？」

『だから涼介がほんとに猫なんだって思って』

ゆうてぃはヘナヘナとソファの上で身を縮こませる。

涼介は困ったような顔をして、僕とゆうてぃの頭を撫でる。

「2人とも疲れてるんだよ。ほら、明日オフでしょ？俺がカルボナーラ作ってやるから。ほらほら、行くよ。立って」

のそのそと立ち上がる僕らを他所にテキパキと荷物を纏めている。もちろん、僕らの荷物も忘れずに。そういうところほんとに良いお母さんになりそう。
これを言葉にすればきっと「はぁ？」って眉を顰めて「俺はお父さんだよ」ってマジレスしてくるんだろうな。

「もう遅い！先車行ってるよ」

いやいや、遅いって言われても。
僕らがこんなに疲れきってるのあなたのせいですからね。

身軽そうにスタスタと歩いてく後ろ姿をぼーっと眺める。やっぱり猫みたい。

…ん？

…………何か視界の下で細長いものがゆらゆらと揺れている。

もう一度涼介の頭を見る。

その次にゆうてぃと顔を見合わせる。

人間は一度確信したことはどれだけ衝撃的な内容でも簡単に飲み込めるらしい。

きっとその時ゆうてぃと僕は同じことを思っていただろう。

「『チュール買ってあげよう』」

後日談

「え、なにこれ」

『チュールだよ！！』

「うん、しってる。見たらわかる。え、猫飼ってたっけ」

「僕とゆうてぃからのプレゼント」

「？？？猫に？」

「涼介ならきっと気に入るよ」

「は？」

『後で写真撮らせてね』

end

メモにあったのでそのまま載せました。
なんですかこれは。