赤い宝石Ⅱ〈×ym〉 (ページ21)

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･ページ21

「ふぅ」

だいぶ進んだな。

半分ほどページが進んだため本を閉じ軽く伸びをする。

そういえば、先程までキャッキャしてた2人の声が聞こえない。

隣に目をやると、綺麗な瞳を瞼で隠してスヤスヤと健康的な寝息を立てている涼介がいた。
長い睫毛がたまにふるふると小さく震えている。

「寝てたんだ」

『うん。急にパタンって』

涼介の隣に座っているゆうてぃはそう言いながら、涼介のふわふわの髪を優しく撫でている。

なんだか僕も触れてみたくなってゆっくりと手を伸ばす。ふわ、と柔らかい猫毛を、毛並みを整えるかのようにやさしく撫でていれば、気のせいか、涼介が擦り寄ってきた。

『ほんと可愛いね』

「……あ」

先程読んでいた本の内容を反芻する。

“猫は遊んでいても突然燃料切れになり、ぱたりと眠ってしまう。”

“猫が体を擦り寄せ私たちに自分の匂いを付けようとしてくるのは、甘えている時である。なんとも可愛い愛情表現だ。”

やっぱり涼介は、………。

『涼介って猫みたいだよね』

「え？ゆうてぃもそう思うの？」

『マイペースでツンデレで意外と寂しがり屋のとことか、猫みたい』

未だに涼介を撫で続けているゆうてぃと、涼介の寝顔を見つめる。

…あれ。

あれれ。

耳が、ある…。

耳は誰にでもあるが違う。その耳じゃない。

目をゴシゴシと擦るも、涼介の頭に生えたもふもふの猫耳は消えない。

あれ？え、ほんとに？

チラと横目でゆうてぃを見てみれば、ゆうてぃも同じように目を何度も擦っては涼介の頭を凝視している。

……え？

パチ、と涼介の大きな瞳がこちらを射抜く。

「にゃぁ」