赤い宝石Ⅱ〈×ym〉 (ページ20)

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猫の生態 cnym? ページ20

「ちぃ、何読んでんの？」

「これ」

読んでいた本を軽く閉じ表紙を見せれば大きくて丸い目をさらに丸くして不思議そうな顔をする。

「ねこの生態？なんでねこ？好きだっけ？」

「いや、ちょっと気になって」

「へぇ〜、珍しいね」

特にそこから話を続けるわけでもなく、ただ静かに僕の隣に座りスマホを取り出しポチポチと何かを打ち始める。

真剣そうに画面を見つめる涼介の横顔をチラりと見てから本に目を落とす。

“猫が黙って傍に寄り添っている時、撫でようとしたら嫌がられた経験はないだろうか。なぜなら猫には、構われたくはないけど好きな人の傍に居たい、という気分の時があるからだ。我々人間はそれを見極めなければいけない。”

そっと隣にいる涼介に手を伸ばしてみれば肩を小さく揺らして怪訝そうな顔を向けてくる。

「なに？」

「いや、ほこりがついてたから」

まぁ嘘だけど。

「まじ」

僕が髪に触れる前に自分でてしてしと髪をはたいた。
まるで僕から触れられないようにするために。

『涼介ー！知念ー！』

「おつかれ」

撮影が終わり楽屋に戻ってきたゆうてぃの相変わらずのビックボイスに苦笑する。
あぁ、ないはずのしっぽがブンブンと振りまくってるように見えるよ。

『知念何読んでんの？』

「ちぃちゃん猫の生態読んでんの。だからだる絡みだめだよ」

僕が答える前に涼介が、まるで小さい子どもを相手にしてるような感じで優しく教えてあげる。

涼介はゆうてぃに対して何かと母性を爆発させている。多分本人は自覚ないと思うけど。
ゆうてぃはそれに気付いているのか、涼介が甘やかしムーブの時は存分に甘えにいっている。

別に羨ましくはないよ。涼介は僕だけにはいつだって甘やかしてくれるからね。

『涼介コレ見て』

「うわ、めっちゃかわいい」

『だよね。ロケで触らせてもらったんだけどもうすっごいもっふもふ』

「えぇ、いいなぁ。あーかわいい！」

『ふふ』

ゆうてぃのスマホの画面を食い入るように見て、眉を下げ口角を最大限に上げて心底可愛いと思っているような顔をしてキャッキャしてる涼介はメンバーの僕から見てもとても可愛い。

でも僕はこの会話には参加しない。なぜなら猫の生態を調べなければいけないから。
そんな使命感からもう一度僕は本の虫になる。