3話 ページ4
夢を見ていた。冷たい海にいるのに、なぜか暖かい。
なぜ、冷たい海にいるとわかるのだろうか。
あ、そうか。抱えている君がこんなにも冷たいからだ。
苦しい。息ができない。周りは冷たい深い青で覆われていて、一筋の光も見当たらない。
上へ、上へと手を伸ばしても、水を掻くだけでまるで手応えがない。
口からは泡が溢れ出し、身体中から酸素が奪われていく。
怖い。
純粋にそう思った。死ぬのが怖い。息ができないのが怖い。貴方に、会えなくなるのが怖い。
「え、夢…?」
冷や汗と、涙はその証拠だ。
「それにしてはやけにリアルで…」
涙を拭い、起き上がる。鏡にもたれかかって寝てしまったようだ。
「え、今日学校じゃん。」
慌てて、洗面所へ向かう。顔を洗って歯を磨いた。
朝食は普段から食べない。
母の寝室を覗いたが、やはりそこは空っぽでため息をついた。
「行ってきます」
靴にかかとを詰め込み、つま先を軽く弾ませた。
自転車に跨り、坂道を下る。
頬に当たる冷たい風が妙に心地よかった。
「絶好のマジフト日和だなぁ」
呟いて、ペダルに体重を乗せる。勢いをつけて立ち上がり、登り坂を一気に上がった。
なぜだか今日はとても調子が良い。
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せりゅう(プロフ) - 、さん» 教えてくださりありがとうございます。外したつもりが、外れてませんでした。本当にありがとうございます。 (2020年6月6日 14時) (レス) id: 6f98464972 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せりゅう | 作成日時:2020年6月6日 13時