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｢Aが居ない……？｣
比較的に日当たりのいい、少しばかり狭い部屋の扉を開けるとそこには、居るべき人物は居らず、整えられたベッドと観賞用に机上に生けられた薔薇しかない。
朝御飯が出来たのに、彼女はまだ来ないから心配で見に来たのだが。
｢あら、今日は居ないんですね｣
扉の側から顔をちょっと出した実井が、部屋を覗き込む。
｢”今日は”とはなんだ？｣
｢三好さん、知らないんですか？｣
｢いや、なんとも｣
｢そうですか。じゃあ彼所ですね。｣
｢彼所？｣
｢着いてきます？｣
自分より数cm低い彼は、愛らしい眼つきで僕を見て同意を求める。
ああ。と声を発すると、廊下に方向転換した実井は僕が通ったことがない通路へと入っていく。
隠し通路のような廊下で、気づかなければ気づかない程の通路だ。
実井はそんな通路を右往左往すると、ひとつの部屋の前で立ち止まる。
｢ここです｣
そう言い、少し古びた扉を開けた。
重く、錆びた音が微かに響く。
塵が朝日に当たって、きらきらと舞っていく。
｢あぁ、もうまた……。こんなところで、｣
実井がやれやれといった表情で、頭を軽く抱えたので、部屋の中を見るとそこは本棚が幾つもある空間だった。
その部屋の中心であろう場所に本を読むスペースのように机が置いてあり、そこに彼女は小さな寝息を立ていた。
椅子に寄りかかり、肘を肘置きに突いて足を組んで寝ている。起きたら、きっと体が痛い寝方だろう。
そんな阿呆らしい考えを巡らせていると実井が改まったように僕の方に振り返る。
｢三好は先に行っててください｣
戻り方は分かるでしょう。少し挑発的な言い方で僕の眼を見る。
なんとなくその眼を見ると、自分が深い海に引きずり込まれるような感覚がするのだ。
もがこうとすれば、そっちは違う。と言われてるように引き戻される。
、息苦しい。
まるで、彼女は自分の所有物だといわんばかりだ。愛惜しそうに見つめる瞳からは、独占欲が微かに滲み出ている。
｢深入りはしない様に｣
｢……何のことだか、｣
そう実井は言い残すと、僕を置いて部屋の扉を閉めた。
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結花(プロフ) - そらさん» コメントありがとうございます！そういってくださるなんてとても嬉しいです！更新頑張りたいと思います！ (2016年5月11日 23時) (
レス) id: e4f52b721c (このIDを非表示/違反報告)
そら - お話とっても面白いです！更新頑張ってくださいね！ (2016年5月9日 22時) (レス) id: bddda4b7cc (このIDを非表示/違反報告)
結花(プロフ) - かみつれさん» コメントありがとうございます！！ 面白いだなんて凄く嬉しいです！更新頑張りたいと思います！ (2016年5月3日 19時) (レス) id: e4f52b721c (このIDを非表示/違反報告)
かみつれ - 更新楽しみにしています！ (2016年5月3日 0時) (レス) id: 51c4bbe9fb (このIDを非表示/違反報告)
かみつれ - とても、面白いです！ (2016年5月3日 0時) (レス) id: 51c4bbe9fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：結花 | 作成日時：2016年4月22日 0時
