友へ送る桜の贖罪ーアトーンメントー 【警察学校組】

Trick or … ページ43

閉店間近の喫茶ポアロへ行けば、降谷を囲う4人の幽霊。客が櫻樹しかいないせいか、降谷はこの異常現象にツッコミを入れる事なく、しかも楽しそうにコスプレまでしている。29歳のイケメンのコスプレなど、女学生ぐらいにしか需要はないはずだ。



「何で私も降谷くんも4人が視えてるの!?会話出来るの!?」



目の前で起きている現象にツッコミを放棄すると言う事は出来なかった。目の前でポルターガイストされてたまるかと矢継ぎ早に聞けば、当の本人達は何てことないような雰囲気を出しながら言い分を始めた。



「知らないのか?死者の霊が来るって噂があるの」
『神様に頼んだら1日だけって許可貰えちゃったんだよねー』
『七夕かって言われたけど、なんだかんだ許すあたり神様は優しいんだ』
『楽しまなきゃ損だろ』
『すまん、止められなかった…』
「神様適当…」



降谷は本来の職種である警察官の制服を、萩原は吸血鬼の、諸伏は死神の、松田は狼男の、伊達はフランケンシュタインの格好をしたままで告げる。主な概要である死者の霊が本当に来るとは想像していなかったようだ。しかも、生者より死者がコスプレまで楽しんでいるとは全くの想定外である。そもそもとして、降谷は彼らがコスプレをしていることにツッコミを入れたのだろうか。そして、幽霊はお菓子を受け取れるのか。などと疑問に思ったものの、諦めてお菓子を用意し、彼らに差し出した。



「何か言う事は?」
「Trick yet Treat」
『Trick but Treat!』
『Trick and Treat』
『Trick so Treat』
『Trick or Treat』
「伊達くん以外意味分からないけどいいや…」


降谷には直接、幽霊の4人にはテーブルの上に置く。リキュールの入った小さなチョコで、それを受け取った伊達以外の4人は不適に笑った。伊達はチョコを受け取るなり、『ナタリーが待っているから』などと言って早々に目の前から消えた。向こうでも仲が良くて羨ましい限りだと、ほんの少しの寂しさが混ざりながら微笑ましく思っていれば、降谷が急に顔を近付けてきた



「あの…何でチョコ咥えたまま近付いてくるの?そして3人は何で私に触れることが出来てるの!?幽霊だよね!?」
「何でって…」
『Aちゃん知らないの?』
『俺らちゃんと言ったのに』
『知らねぇなら教えてやるよ』




Trick yet Treat…お菓子はいいから悪戯させろ
Trick but Treat…お菓子くれても悪戯する
Trick and Treat…お菓子くれたら悪戯する
Trick so Treat…お菓子くれたから悪戯する

11/7に告げるは別れの言葉→←牽牛と朝顔姫の思い出

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す